vol.20 2019/03/20
登録支援機関の登録要件
2019年4月26日、法務省は登録機関登録簿を公開しました。
http://mshn.jp/r/?id=0xtq63012&sid=4032
報道によると1176団体の申請があったそうですが、同日時点で登録が認められていたのはわずか8団体に過ぎませんでした。5月16日に情報の更新がされましたが、更新時点でも登録が完了したのは35団体に過ぎません。
当事務所でも登録支援機関として登録したいとのご相談を多数いただいておりますが、現実に登録要件を満たしている団体はさほど多くない、というのが相談を受けている実感です。登録支援機関としての登録を認められるハードルはかなり高いといわざるを得ないでしょう。
それでは、第22回メ-ルマガジンの配信です。
今号の目次
- 登録支援機関の登録要件
- あとがき
登録支援機関の登録要件
さて、登録支援機関としての登録にあたり、一番ネックになるのは、登録拒否事由のうち、「中長期在留者の適正な受入れ実績がないこと等による拒否事由」と称する要件です(以下「本要件」といいます)。
この点について、出入国管理及び難民認定法(以下「法」といいます)及び出入国管理及び難民認定法施行規則(以下「施行規則」といいます)は、以下の通り規定しています。
〇法第19条の26(抜粋)
出入国在留管理庁長官は,第19条の23第1項の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき,又は第19条の24第1項の申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり,若しくは重要な事実の記載が欠けているときは,その登録を拒否しなければならない。
十四 支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者として法務省令で定めるもの
〇施行規則第19条の21(抜粋)
法第19条の26条第1項第14号の法務省令で定める者は,次の各号のいずれかに該当する者とする。
三 次のいずれにも該当しない者
イ 登録支援機関になろうとする者が,過去2年間に法別表第1の1の表,2の表及び5の表の上欄の在留資格(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことができる在留資格に限る。ハにおいて同じ。)をもつて在留する中長期在留者の受 入れ又は管理を適正に行つた実績がある者であること
ロ 登録支援機関になろうとする者が,過去2年間に報酬を得る目的で業として本邦に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験を有する者であること
ハ 登録支援機関になろうとする者において選任された支援責任者及び支援担当者が,過去5年間に2年以上法別表第1の1の表,2の表及び5の表の上欄の在留資格をもつて在留する中長期在留者の生活相談業務に従事した一定の経験を有する者であること
ニ イからハまでに掲げるもののほか,登録支援機関になろうとする者が,これらの者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として出入国在留管理庁長官が認めるものであること
この中で、よくご相談があるのは、イの要件です。この要件は、主として、技能実習法の監理団体や、以前から外国人を受け入れ又は支援をしていた会社が想定されていると思われます。
(1)法別表第1の1の表,2の表及び5の表の上欄の在留資格(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことができる在留資格に限る)
(2)中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績
(1)については、例えば別表第2に記載のある「定住者」はこれに該当しません。
(2)の「中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った」とは,少なくとも1名以上,法別表第1の1の表,2の表及び5の表の上欄の在留資格(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことができる在留資格に限る。)をもって在留する中長期在留者の受入れ又は管理を行っており,その間,入管法,技能実習法及び労働関係法令といった,外国人の受入れ又は管理に関連する法令の規定を遵守していること」をいうと解されています(特定技能外国人受入れに関する運用要領(以下「運用要領」119頁)。例えば、雇用する中長期在留者に対して賃金の不払がある場合や,雇用契約の不履行に関し違約金契約を締結している場合などは,入管法及び労働関係法令の規定を遵守しているとは認められないとされています。
また、登録支援機関となろうとする者が,技能実習制度における監理団体である場合は,技能実習法第36条に規定する「改善命令」及び旧技能実習制度における「改善指導」(旧上陸基準省令の技能実習1号イの基準第18号の表イからヨまでのいずれか,又は,技能実習1号ロの基準第16号の表イからソまでのいずれかに該当するものに限る。)を受けている場合は,技能実習法の規定を遵守しているとは認められない、と考えられています。
この要件は、登録支援機関に実際に中長期在留者の適正な受入れ又は支援の経験があること、又はこれまで日本人労働者等を適正かつ適切に雇用してきた実績のある機関と同程度に、責任をもって適切に支援を行うことが見込まれることを要求するものです。
現状、登録支援機関として登録できている団体がわずか35団体にとどまっていることからすれば、出入国在留管理庁は本要件を厳格に判断しているものと推測されます。新規に登録支援機関を目指される方は本要件を満たしているか十分に確認の上御対応なさることをお勧めいたします。
2. あとがき
このたびは第22回メールマガジンをお読みいただき、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、
弊所までご連絡ください
(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、
もし万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
今後ともよろしくお願い致します。