技能実習制度と監理団体の業務
技能実習法のポイント
旧・入管法
- 政府(当局)間の取り決めがない
保証金を徴収しているなどの不適正な送り出し機関の存在 - 監理団体や実習実施者の義務・責任が不明確であり実習体制が不十分
- 民間機関である(公財)国際研修協力機構が法的権限がないまま巡回指導
- 実習生の保護体制が不十分
- 業所管省庁等の指導監督や連携体制が不十分
技能実習法
- 実習生の送り出しを希望する国との間で政府(当局)間の取り決めを順次作成することを通じ、相手政府(当局)と協力して不適切な送り出し機関の排除を目指す
- 監理団体については許可制、実習実施者については届出制とし、技能実習計画は個々に認定制とする
- 新たに外国人技能実習機構(認可法人)を創設し、監理団体等に報告を求め実地に検査する等の業務を実施
- 通報・申告窓口を整備。人権侵害行為等に対する罰則等を整備。実習先変更支援を充実。
- 業所管省庁、都道府県等に対し各種業法等に基づく協力要請等を実施。これらの関係行政機関から成る「地域協議会」を設置し指導監督・連携体制を構築
外国人技能実習機構の設立
平成29年1月25日外国人技能実習機構が設立登記されました。
外国人技能実習制度の適正な実施と技能実習生の保護を図り、人材育成を通じた国際協力を推進する新たな法人が発足します。 厚生労働省ホームページ(外国人技能実習機構設立登記)
外国人技能実習機構は技能実習生の保護を目的とするため労働基準監督署との連携により厳格に技能実習先を管理し、監理団体への指導が強化されることが予測されます。
優良な監理団体等に対する拡充策
技能実習法では、技能実習生の保護を目的として監理団体・技能実習先との管理監督が強化されています。その一方で優良な監理団体に対して拡充策(メリット)も付加されています。
優良な監理団体への措置
技能実習制度は、監理団体への規制ある一方、
法令遵守・コンプライアンスを徹底する団体にはメリットが発生する制度です
実習期間の延長及び再実習
3年間→5年間
一旦帰国後、
最大2年間の実習
受け入れ人数の拡大
最大5%→最大10%まで
常勤従業員数に応じた
人数枠を倍増
対象職種の拡大
地域限定の職種・企業独自の職種・複数職種の実習措置
職種の随時追加
監理団体の許可制
監理団体の許可申請から認定までの流れ
外部役員または外部監査人の措置について
監理団体が許可を受けるためには、いくつかの要件があります。そのひとつが、外部役員または外部監査人を選任することが挙げられます
技能実習法及び関係諸法令によると、監理団体は一定の要件を満たした外部役員または外部監査人の選任をしなければ、監理団体として監理事業を行うことの許可を得られません。また、選任された外部役員または外部監査人は、3ヶ月に1度監理団体の監査を実施するなど、監理団体を現実に監査しなければなりません。
ゆえに、外部役員または外部監査人の選任は重要であり、かつ慎重に行わなければなりません。
一般監理事業と特定監理事業
許可を受けた監理団体が行うことができる監理事業は、一般監理事業と特定監理事業の二段階に分かれます。
一定の要件を満たしている優良な監理団体であれば、一般監理事業まで行うことができますが、過去に技能実習生の失踪やトラブル発生によりその監理団体の監理不行き届きなどが発生し、行政指導を受けたことがある場合など、必ずしも優良な監理団体といえないのであれば、一部の特定監理事業しか行うことができません。
監理できる技能実習 | 許可の期間 | |
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一般監理事業 | 技能実習1号・技能実習2号・技能実習3号 | 5年または7年 |
特定監理事業 | 技能実習1号・技能実習2号 | 3年または5年 |