vol.22 2020/03/22
監理団体の許可及び技能実習計画の認定の取消しについて
新型コロナウイルス感染症騒動は収束の気配をみせない状況になっています。
2月末以降の外国人技能実習機構(以下「機構」といいます)のホームページの「重要なお知らせ」はコロナウィルスの話ばかりで、技能実習生も入国できない・出国できない、といった影響があったり、企業の面接がキャンセルになったという話もよく耳にするところです。皆様におかれましてはいかがでしょうか。
当事務所にも日々コロナウィルスに関するご相談が多数寄せられております。
資金繰りやキャンセル、従業員への(感染防止の観点での)対応など、お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
今号の目次
- 監理団体の許可及び技能実習計画の認定の取消しについて
- あとがき
監理団体の許可及び技能実習計画の認定の取消しについて
法務省と厚生労働省は、令和2年2月21日付で、えひめEX協同組合、ココロユニオン協同組合に対し、監理団体の許可の取消しを通知したことを公表しました。
また、出入国在留管理庁と厚生労働省は、同日付で、愛媛電機有限会社、株式会社オルバス、有限会社キットウココ、有限会社ひめ企画、星加タオル株式会社、株式会社ユウキに対し、技能実習計画の認定の取消しを通知しました。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09599.html)
これらの処分は、傘下の実習実施者に対する監査を適切に行っていなかったこと、及び、認定計画に従って入国後講習を実施していなかったことから、監理事業を適正に行うに足りる能力を有するものとは認められず、技能実習法第25条第1項第2号の基準を満たさないため、同法第37条第1項第1号に規定する監理団体の許可の取消し事由に該当することとなった、ということを理由とするものです。
報道によれば、えひめEX協同組合は、傘下の5社が「婦人子供服製造」の技能実習計画とは異なる作業をさせていたにもかかわらず、適切に監査を行わなかったほか、認定計画に 従って入国後講習を実施していなかったとのことです。
また、ココロユニオン協同組合も傘下の有限会社キットウココが「機械加工」の技能実習計画とは異なる他の作業をさせていたにもかかわらず、適切に監査を行わなかったほか、実習生に対する生活ガイダンスといった入国後の講習も計画に従って実施していなかった、とされています。これらは、主としていわゆる「技能実習計画齟齬」を理由とするものです。
技能実習法上、技能実習を行わせようとする実習実施者は、技能実習計画を作成し、その技能実習計画が適当である旨の認定を受けることとされています(技能実習法8条)。
認定を受けた場合であっても、その後、認定の基準を満たさなくなった場合や、認定計画のとおりに技能実習計画が行われていない場合等には、実習認定の取消が行われることになります(技能実習法16条)。(以上について出入国在留管理庁・厚生労働省編令和元年6月「技能実習制度運用要領」
(https://www.otit.go.jp/files/user/190610-11.pdf)3~4頁以下参照)。
今回の事例は実習実施者の技能実習計画を取り消しただけにとどまらず、監理団体が適切に監査を行わなかったことから監理団体として監理事業を第三十九条第三項の主務省令で定める基準に従って適正に行うに足りる能力を有するとはいえないことを理由として監理団体の許可を取り消したということに大きな特徴があります。
監理団体の皆様は、平成30年6月21日に法務省・厚生労働省・外国人技能実習機構が、連名で、公表した「監理団体による技能実習計画の作成指導及び監査等における留意点について(技能実習計画齟齬)」との表題の通知文(以下、「本件通知」といいます)を再度ご確認下さい。主要な内容は下記のとおりですが、技能実習は技能実習計画に基づいて実施することが必要であること、監理団体は、そのために適切な監査を実施することがある、ということを再度確認しなければなりません。
記
本件通知は、「実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせていないと認めるとき」が技能実習計画認定の取消事由となっている(技能実習法16条1項1号)ことを踏まえ、「(注:技能実習計画齟齬が)悪質な場合には改善命令や認定の取消し等を行うなど厳正な対処を行うこととしています。」としています。
その上で、監理団体に対し、
(1)「技能実習計画の作成指導に当たり、技能実習計画が法令に従った適切なものとなっているか否かの確認・指導を行う必要があること」、及び
(2)「監査等に当たり、実習実施者において計画齟齬が行われていないかなどについて十分留意していただきますよう注意喚起いたします。」としたうえで、
「なお、不適切な事案等が判明した場合には、直ちに外国人技能実習機構に報告するなど適切な監理事業を行っていただく必要がある旨申し添えます。」と結んでいます。
2. あとがき
このたびは第32回メールマガジンをお読みいただき、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。