「新型コロナウイルスによる外国人技能実習生への影響」
vol.01 2020/7/27
東京事務所の片岡です。緊急事態宣言が解除されて1か月以上がたちますが、東京では、ここのところ、本稿執筆時点で4日連続で100人を上回る状態となっています。各都道府県知事からは、東京への往訪を控えるように要請がなされ、小池都知事も東京都民は他県への移動遠慮を、と自粛を呼び掛けています。政府は再度の緊急事態宣言は考えていない、としていますが、今後も気を抜くことはできない情勢かと思われます。
さて、そんな新型コロナウイルスの影響で技能実習生にも大きな影響が出ています。経営が厳しくなった実習実施者から解雇される、といったケースも散見されます。この点、令和2年4月17日、法務省は、「新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等に対する雇用維持支援について」(以下「本件支援」といいます))を公表しており、下記①~③の施策を実施していくことを明らかにしています。
【1】出入国在留管理庁が,新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され,実習が継続困難となった技能実習生,特定技能外国人等(以下「技能実習生等」といいます)の日本での雇用を維持するため、関係省庁と連携し,特定産業分野における再就職支援を実施すること。
【2】①のため技能実習生等に在留資格「特定活動(就労可)」(最大1年)を許可すること
【3】②において、行うことができる活動は、「受入れ機関において特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付ける活動」であること
本件支援によって、解雇された技能実習生は、今まで認められていなかった別の業種・職種の企業に事実上「転職」することが可能になっており、実際に「転職」が認められたケースも出てきています。もっとも、1年間で特定技能の試験に合格できなければ帰国しなければならないことになるものであることから、試験対策のための教育支援は必須でしょう。
他方で、このような「特定活動」の場合、管轄ごとに解釈が違う、ということも出てきているようで、ある地域では認められたものが、他の地域では認められない、というケースもあるようです。出入国管理行政においては、政府が決めたことが末端までいきわたるまで時間がかかる、ということはよくあることです。自分で大丈夫だろうと安易に判断することなく、お早めに専門家に相談することをお勧めします。