vol.50 2021/10/01
技能実習制度運用要領改正の主要な点
今号の目次
- 技能実習制度運用要領の改正
- 「特定活動」の場合の帰国旅費
- 困難時届に記載すべき内容
- 監理団体の事業所の独立
- まとめ
1. 技能実習制度運用要領の改正
「技能実習制度運用要領」(以下「要領」)は、平成28年11月28日に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(以下「技能実習法」)が公布され、技能実習制度が大きく改正されたことに伴い、 技能実習制度の運営に必要な法律・規則等の解釈を示すとともに、用語の解説や制度運用上の留意事項を明らかにするため、平成29年4月7日に外国人技能実習機構より公表されたものです。
要領はその都度改正がされ、本年では令和3年4月1日、同年8月1日にその一部が改正されました。
本稿では、要領の本年における改正に関し、特に監理団体の皆様に重要と思われる点についてご紹介致します。
2. 「特定活動」の場合の帰国旅費
技能実習計画の認定基準(技能実習法9条第6号)を具体化した同法施行規則12条第6号では、技能実習生の帰国旅費は企業単独型実習実施者又は監理団体が負担すべきことが定められています。
上記は技能実習生が帰国困難である等の事情により「特定活動」等の在留資格に変更された場合にも当てはまることが明記されました。
3. 困難時届に記載すべき内容
現在の実習実施者で技能実習を継続することができなくなった場合、技能実習生が技能実習継続の希望を有している場合には、困難時届の提出が必要となります(技能実習法33条第1項。)。
従来は困難時届提出の際に「技能実習生の現状を含めて届け出る必要があります。」とされていたものが、改正により「技能実習生の現状(入国状況、住宅の確保、休 業手当や雇用保険の受給状況を含む生活費等の確保)や技能実習の継続のための措置(転籍等の連絡調整等の状況、帰国する場合は帰国理由や予定時期等)を含めて届け出る必要があります。」とより具体化され、かつ、技能実習継続のための措置も含めての届け出が必要と明記されました。
4. 監理団体の事業所の独立
監理団体の許可基準として「申請者が監理事業を適切に行うことができる能力を有するもの」であることが定められています(技能実習法25条1項8号)。
要領の改正により、当該基準を具体化され、「監理団体の事業所は実習実施者の事業所と独立していることが外形上も分かる形で整備されていることが必要」と明記されました。
これにより、実習実施者等の事務所の一部を事業所としたり、形式的に各事業所の名義が別であっても、実習実施者等の事務所や作業場所等を通過しなければ事業所に入室できないような場合は、監理団体の事業所が独立しているとは認められないこととなりました。
現状、監理団体の事業所が実習実施者から独立していないような場合には、迅速に改善が求められることとなりますので、注意が必要です。
5. まとめ
特に令和3年4月1日付の改正では大幅な改正がなされ、本稿ではそのほんの一部を紹介させていただきました。
また折に触れ、その他の改正点についても言及させていただければと思います。