帰国が決まっている技能実習生は「特定活動」への変更が認められるのか

 

ご相談分野:その他

業種:監理団体

 

 

1 相談内容

帰国が決まっている技能実習生から、技能実習から特定活動(6ヶ月・就労可)への在留資格に変更して就労することが可能ではないのか、という問い合わせを受けたが、そのような在留資格変更が認められるのか。

2 争点

帰国が決まっている技能実習生の「特定活動(6か月・就労可)」への在留資格変更の可否

 

3 解決内容

帰国が決まっている場合、本国への帰国が困難であることを前提とする上記在留資格への変更は要件を欠き認められません。

 
4 弁護士の所感

技能実習生でその後も継続を希望するケースがありますが、本件のような場合、「特定活動(6か月・就労可)」は本国への帰国が困難であることを前提とする在留資格なので、在留資格変更は認められません。
コロナの影響で出国・入国が止まっている状況下ですが、適切に対応する必要があります。
(参照URL:http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri07_00026.html

解決実績9|帰国が決まっている技能実習生は「特定活動」への変更が認められるのか

特定技能外国人労働者の帰国費用は誰が負担するべきか

 

ご相談分野:労務問題

業種:人材紹介・登録支援機関

 

 

1 相談内容

特定技能外国人労働者が帰国の航空券代が無い場合、帰国のために適切な措置を取るとされているが、どのように対応すべきか。
例えば、毎月給与から帰国のための費用を積み立てさせるといった対応はできないのか。

2 争点

特定技能外国人の帰国費用の負担を誰がするべきか。

 

3 解決内容

帰国費用について、法務省のQ&Aでは「原則として外国人労働者の自己負担」となっていますが、技能実習との比較や他社事例を考えると受け入れ企業の負担として整理すべきであると思われます。
給与から帰国費用を積み立てさせることは、禁止されている金銭その他の財産管理にあたるので、実施すべきではありません。

4 弁護士の所感

登録支援機関として企業をサポートするには、多岐に渡る項目に対して適切な回答をしなければならず、法違反があった場合、受入れ企業のみならず外国人労働者も不利益を被る恐れがあります。

入管法・技能実習法は高度のコンプライアンス意識が求められる分野ですので、特にその分野に精通した顧問弁護士の必要性が高い分野であると言えるでしょう。

解決実績8|特定技能外国人労働者の帰国費用は誰が負担するべきか

企業内転勤の方法による外国人介護労働者の受入れの可否

 

ご相談分野:その他

業種:介護業

 

 

1 相談内容

外国の企業から、企業内転勤の方法で介護事業所に外国人労働者を派遣することが可能だということを言われているが、そういった方法を取ることが可能なのか。

2 争点

「企業内転勤」の方法によって外国人介護労働者を受け入れることができるか。

 

3 解決内容

企業内転勤とは、本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が,本邦にある事業所に期間を定めて転勤して,
①当該事業所において行う理学,工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動(在留資格「技術」に相当)若しくは
②法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事する活動(在留資格「人文知識・国際業務」相当)。
について在留資格該当性が認められます(入管法別表第1の2の表の「企業内転勤」の項の下欄参照)。
上記の定義からしても「介護」にあたる労働者の活動はそもそも想定されていないと思われます。したがって、「企業内転勤」の方法によって外国人介護労働者を受け入れることはできません。むしろ、こういった申請をした場合、介護労働者の在留資格を潜脱しようとしているという判断を受けかねないので、こういった方法を取るべきではないと思われます。

4 弁護士の所感

近時外国人分野に参入してくる企業は多いですが、本件のように法的には通らない提案をしているようなケースや、いわゆるブローカーの関与が疑われるような場合もあり、それらのものに関わると不測の損害を被ることになりかねません。今回は当事務所にご相談いただいたため、問題を未然に防ぐことができてよかったと思います。

解決実績7|企業内転勤の方法による外国人介護労働者の受入れの可否

技能実習生にコロナの感染者が出た場合の監理団体の対応

 

ご相談分野:その他

業種:監理団体

 

 

1 相談内容

技能実習生にコロナの感染者が出た場合、監理団体としてできることはあるか。例えば、技能実習生は一つのアパートで、数名が暮らしているというケースが多いが、同室者の中で感染者が出た場合、どう対応したらよいか。

2 争点

技能実習生にコロナの感染者が出た場合、監理団体はどのように対応するべきか。

 

3 解決内容

技能実習生にコロナの感染者が出た場合、監理団体としては、実習実施者の対応が労働関係法令に沿っているか確認し、労働関係法令違反が認められる場合は適切に指導を行う責任があります(技能実習法40条3項)。

実習生の一人がコロナの陽性と判断された場合、同室者も保健所に濃厚接触者として把握され、最低でも14日間は症状がなくても保健所による健康管理がなされることになります。

緊急事態宣言下において、コロナの陽性もしくは濃厚感染者としての隔離を実施する場合、企業に休業手当の支払い義務はないと解されます。技能実習では業務の性質上、テレワークは不可能な場合が多いでしょうし、配置転換をして技能実習を継続することも困難であるからです。

他方で、コロナの疑いがある、というだけで会社が休業を命じる場合は休業手当の支払義務がある、と解されます。監理団体としては、自主的に休業を命じたにも関わらず休業手当を支払っていない場合は、労基法に違反するものとして、適切に指導を行うことが必要となります。

なお、休業手当の支払い義務がない場合でも一定の要件を満たした場合は健康保険の傷病手当金の支給を受けられる場合がありますので、その点も確認しておくべきでしょう。

4 弁護士の所感

技能実習生は共同生活を送っていますので、一人の技能実習生がコロナの陽性になった場合、他の実習性も濃厚接触者として取り扱われることが多くなります。実習実施者は技能実習生を含めた労働者全般に対する安全配慮義務を負っておりますので、その点の対応が適切にされているのか、休業を命じた際に休業手当の支払いが必要であるにもかかわらず支払いがなされていないかを確認の上適切に指導する必要があります。

解決実績6| 技能実習生にコロナの感染者が出た場合の監理団体の対応

技術・人文知識・国際業務の在留資格の外国人材が飲食店へ転職できるか

 

ご相談分野:その他

業種:監理団体

 

 

1 相談内容

技術・人文知識・国際業務の在留資格の外国人材が、外国人の利用が多い地域の飲食店へ転職できますか。
業務内容は、接客、ホール業務、料理の盛り付け補助等です。転職を希望している外国人は、英語ができるため、英語ができる人材の必要性があるということで、この飲食店への転職は可能でしょうか。

2 争点

外国人の利用客が多い飲食店の接客、ホール業務、料理の盛り付け補助等の業務が技術・人文知識・国際業務で認められた就労活動に当たるか。

 

3 解決内容

基本的に飲食店での技術・人文知識・国際業務の方の採用は接客が含まれるような場合は特に難しいです。
技術・人文知識・国際業務は大卒等の学歴のある者や一定の実務経験を有する者が、その学修した内容や実務経験に関連した一定以上の水準の文化系の業務を行う活動について認められる在留資格です。
他方で、飲食店の接客、ホール業務、料理の盛り付け補助などは単純就労とみなされやすいので、仮に、その方を採用したとしても、技術・人文知識・国際業務で認められない就労活動を行っていたものとして、次回の在留資格更新時に在留資格の更新が不許可となることになるおそれが高いと思われます。

4 弁護士の所感

技術・人文知識・国際業務は転職の時に在留資格の変更がいるわけではないことから、実際には、単純就労と評価されるような業務に転職してしまうケースがありえます。しかしながら、その外国人の在留資格で認められない単純就労が主たる業務であった場合、在留資格更新の際には更新が不許可になることになります。
可能であれば、将来の在留資格更新が認められないリスクを避けるため、転職後の活動が転職を希望している外国人の就労資格として認められる活動かどうかを証明する「就労資格証明書」の取得をしてもらうことが望ましいでしょう。

解決実績5| 技術・人文知識・国際業務の在留資格の外国人材が飲食店へ転職できるか

「特定技能1号」(農業分野)において、派遣先が変更になった場合、在留資格の変更申請が必要か

 

ご相談分野:労務問題

業種:人材派遣

 

 

1 相談内容

「特定技能1号」(農業分野)において、派遣先が変更になった場合、在留資格の変更申請が必要でしょうか。
2 争点

「特定技能1号」(農業分野)において、派遣先が変更になった場合、在留資格の変更申請が必要か否か。

 

3 解決内容

在留資格の変更申請は不要ですが、派遣に先立って特定技能雇用契約の変更届出を行う必要があります(入管法第19条の18第1項1号、入管法施行規則第19の17)。

これは、特定技能雇用契約書(参考様式第1-5)の別添の雇用条件書(参考様式第1-6号)の「就業の場所」欄について、派遣雇用の場合、「別紙『就業条件明示書』に記入」(参考様式第1-13号)となっているところ、派遣計画書(参考様式第1-12号)において、
「 次の表1の特定技能外国人については,表2のとおりに派遣し,派遣予定内容に変更があった場合,及び同表にない派遣先に派遣する場合には,派遣に先立って届け出ます。」
と誓約しているからです。
4 弁護士の所感

「特定技能1号」では農業と漁業のみ派遣が認められていますが、規制が複雑で極めて難解になっています。
今回の質問もとてもレベルの高い質問でしたが適切な回答ができたと思います。

解決実績4| 「特定技能1号」(農業分野)において、派遣先が変更になった場合、在留資格の変更申請が必要か

実習実施者から実習生の身元保証を求められたとき、監理団体が断ることはできるのか

 

ご相談分野:労務問題

業種:監理団体

 

 

1 相談内容

実習実施者から実習生の身元保証を求められたとき、監理団体が断ることはできるのか。

 

2 争点

監理団体は実習実施者に対し、技能実習生の身元保証をする義務を負うのか否か。

 

3 解決内容
技能実習において、技能実習の体制を整備する責任は実習実施者にあります(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(以下「技能実習法」といいます)3条1項、5条1項)。
監理団体は、技能実習生を保護すべき立場にありますが、実習実施者に対して技能実習生の身元を保証する立場にはありません(技能実習法5条2項、39条3項・同施行規則52条参照)。


したがって、監理団体は技能実習法上実習生の身元保証をする立場になく、実習実施者から技能実習生の身元保証を求められたとしても断ることができます。

 

【技能実習法(抜粋)】
(基本理念)
第3条 技能実習は、技能等の適正な修得、習熟又は熟達(以下「修得等」という。)のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行われなければならない。
2 技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。

(実習実施者、監理団体等の責務)
第5条 実習実施者は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について技能実習を行わせる者としての責任を自覚し、第三条の基本理念にのっとり、技能実習を行わせる環境の整備に努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力しなければならない。
2 監理団体は、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について重要な役割を果たすものであることを自覚し、実習監理の責任を適切に果たすとともに、国及び地方公共団体が講ずる施策に協力しなければならない。

(認定計画に従った実習監理等)
第39条 監理団体は、認定計画に従い、団体監理型技能実習生が団体監理型技能実習を行うために必要な知識の修得をさせるよう努めるとともに、団体監理型技能実習を実習監理しなければならない。
2 監理団体は、その実習監理を行う団体監理型実習実施者が団体監理型技能実習生が修得等をした技能等の評価を行うに当たっては、当該団体監理型実習実施者に対し、必要な指導及び助言を行わなければならない。
3 前二項に規定するもののほか、監理団体は、団体監理型技能実習の実施状況の監査その他の業務の実施に関し主務省令で定める基準に従い、その業務を実施しなければならない。

【技能実習法施行規則(抜粋)】
(監理団体の業務の実施に関する基準)
第五十二条 法第三十九条第三項の主務省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 団体監理型実習実施者が認定計画に従って団体監理型技能実習を行わせているか、出入国又は労働に関する法令に違反していないかどうかその他の団体監理型技能実習の適正な実施及び団体監理型技能実習生の保護に関する事項について、監理責任者の指揮の下に、次に掲げる方法(法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める特定の職種及び作業に係るものである場合にあっては、当該特定の職種及び作業に係る事業所管大臣が、法務大臣及び厚生労働大臣と協議の上、当該職種及び作業に特有の事情に鑑みて告示で定める方法、その他団体監理型技能実習生が従事する業務の性質上次に掲げる方法のうちにその方法によることが著しく困難なものがある場合にあっては、当該方法については、これに代えて他の適切な方法)により、団体監理型実習実施者に対し三月に一回以上の頻度で監査を適切に行うこと。

イ 団体監理型技能実習の実施状況について実地による確認を行うこと。
ロ 技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること。
ハ 団体監理型実習実施者が団体監理型技能実習を行わせている団体監理型技能実習生の四分の一以上(当該団体監理型技能実習生が二人以上四人以下の場合にあっては二人以上)と面談すること。
ニ 団体監理型実習実施者の事業所においてその設備を確認し、及び帳簿書類その他の物件を閲覧すること。
ホ 団体監理型実習実施者が団体監理型技能実習を行わせている団体監理型技能実習生の宿泊施設その他の生活環境を確認すること。
二 団体監理型実習実施者が法第十六条第一項各号のいずれかに該当する疑いがあると認めたときは、監理責任者の指揮の下に、直ちに、前号に規定する監査を適切に行うこと。
三 第一号団体監理型技能実習にあっては、監理責任者の指揮の下に、一月に一回以上の頻度で、団体監理型実習実施者が認定計画に従って団体監理型技能実習を行わせているかについて実地による確認(団体監理型技能実習生が従事する業務の性質上当該方法によることが著しく困難な場合にあっては、他の適切な方法による確認)を行うとともに、団体監理型実習実施者に対し必要な指導を行うこと。
四 技能実習を労働力の需給の調整の手段と誤認させるような方法で、団体監理型実習実施者等の勧誘又は監理事業の紹介をしないこと。
五 外国の送出機関との間で団体監理型技能実習の申込みの取次ぎに係る契約を締結するときは、当該外国の送出機関が、団体監理型技能実習生等の本邦への送出に関連して、団体監理型技能実習生等又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他団体監理型技能実習生等と社会生活において密接な関係を有する者の金銭その他の財産を管理せず、かつ、団体監理型技能実習に係る契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約をしないことを確認し、その旨を契約書に記載すること。
六 団体監理型技能実習の申込みの取次ぎを受ける場合にあっては、当該取次ぎが外国の送出機関からのものであること。
七 第一号団体監理型技能実習にあっては、認定計画に従って入国後講習を実施し、かつ、入国後講習の期間中は、団体監理型技能実習生を業務に従事させないこと。
八 法第八条第四項(法第十一条第二項において準用する場合を含む。)に規定する指導に当たっては、団体監理型技能実習を行わせる事業所及び団体監理型技能実習生の宿泊施設(法第十一条第二項において準用する場合にあっては、これらのうち変更しようとする事項に係るものに限る。)を実地に確認するほか、次に掲げる観点から指導を行うこと。この場合において、ロに掲げる観点からの指導については、修得等をさせようとする技能等について一定の経験又は知識を有する役員又は職員にこれを担当させること。
イ 技能実習計画を法第九条各号に掲げる基準及び出入国又は労働に関する法令に適合するものとする観点
ロ 適切かつ効果的に技能等の修得等をさせる観点
ハ 技能実習を行わせる環境を適切に整備する観点
九 その実習監理に係る団体監理型技能実習生の団体監理型技能実習の終了後の帰国(第二号団体監理型技能実習の終了後に行う第三号団体監理型技能実習の開始前の一時帰国を含む。)に要する旅費(第三号団体監理型技能実習に係るものであって、第二号団体監理型技能実習生が第二号団体監理型技能実習を行っている間に法第八条第一項の認定の申請がされた場合にあっては、第三号団体監理型技能実習の開始前の本邦への渡航に要する旅費及び第三号団体監理型技能実習の終了後の帰国に要する旅費)を負担するとともに、団体監理型技能実習の終了後の帰国が円滑になされるよう必要な措置を講ずること。
十 その実習監理に係る団体監理型技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行わないこと。
十一 技能実習を行わせようとする者に不正に法第八条第一項若しくは第十一条第一項の認定を受けさせる目的、不正に法第二十三条第一項若しくは第三十二条第一項の許可若しくは法第三十一条第二項の更新を受ける目的、出入国若しくは労働に関する法令の規定に違反する事実を隠蔽する目的又はその事業活動に関し外国人に不正に入管法第三章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可若しくは入管法第四章第一節若しくは第二節若しくは第五章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、偽造若しくは変造された文書若しくは図画又は虚偽の文書若しくは図画を行使し、又は提供する行為を行わないこと。
十二 団体監理型技能実習生との間で認定計画と反する内容の取決めをしないこと。
十三 法第三十七条第一項各号のいずれかに該当するに至ったときは、直ちに、機構に当該事実を報告すること。
十四 その実習監理に係る団体監理型技能実習生からの相談に適切に応じるとともに、団体監理型実習実施者及び団体監理型技能実習生への助言、指導その他の必要な措置を講ずること。
十五 事業所内の一般の閲覧に便利な場所に、監理団体の業務の運営(監理費の徴収を含む。)に係る規程を掲示すること。
十六 前各号に掲げるもののほか、法務大臣及び厚生労働大臣が告示で定める特定の職種及び作業に係る団体監理型技能実習の実習監理を行うものにあっては、当該特定の職種及び作業に係る事業所管大臣が、法務大臣及び厚生労働大臣と協議の上、当該職種及び作業に特有の事情に鑑みて告示で定める基準に適合すること。

 

4 弁護士の所感

今回の実習実施者(企業)の要望は技能実習と通常の雇用契約を締結することと同様のものと誤解していることが根本にあると思われますが、技能実習は、あくまで国際貢献のためのものですので、通常の雇用関係とは異なります。
昨今、技能実習に対しては厳しい目が向けられており、外国人技能実習機構による監査も大変厳しくなっています。
監理団体は、実習実施者に対し、技能実習に関して適切な指導を行っていく必要がありますので、本件でも適切なサポートができたと思います。

解決実績3| 実習実施者から実習生の身元保証を求められたとき、監理団体が断ることはできるのか

減給の制裁により最低賃金額を下回る場合、最低賃金法違反となるか

 

ご相談分野:労務問題

業種:監理団体

 

 

1 相談内容

技能実習生に問題行動があったので懲戒処分としての減給処分を課したいと考えています。

減給処分を課した結果、最低賃金を下回ってしまうことも想定されるのですが、問題ないでしょうか。

 

2 争点

減給の制裁により最低賃金額を下回る場合最低賃金法違反となるか。

 

3 解決内容

最低賃金法は、労働者に最低賃金法額以上の賃金債権を与えなければならない(要するに「額面」が最低賃金額以上でなければならない)ということに留まり、所得税、社会保険料は労基法24条1項但し書後段によって控除していると思います。

懲戒処分による減給によって、手取金額が最低賃金を下回っても、同様に最低賃金法違反とはなりません。

ただし、減給の制裁には、

(1)1回の減給額は平均賃金の1日の半額まで

(2)1月で2回以上の減給処分を課す場合も、総額で月給の10分の1まで(労基法91条参照)

という限界がありますので、ご留意下さい。

4 弁護士の所感

技能実習生の給与は最低賃金に近いケースが多いので、減給処分としての減給は許されないのではないか、という問題意識からお問い合わせをいただきました。

 

減給処分は労働者の経済生活に影響を与える重い処分ですので、問題行為の内容及び程度に照らして、社会通念上相当なものでなければならないことに留意する必要があります(労契法15条)。

解決実績2| 減給の制裁により最低賃金額を下回る場合、最低賃金法違反となるか

アルバイトの留学生を技能実習生とすることができるか

 

ご相談分野:その他

業種:士業

 

 

1 相談内容

アルバイトの留学生を技能実習生にすることは可能でしょうか。

 

2 争点

「留学」の在留資格を「技能実習1号」に変更することができるか。

 

3 解決内容

留学生を技能実習生に変更することはできません。

技能実習制度は、国際貢献のための制度であり、他の在留資格からの変更は予定されていないからです。

 

4 弁護士の所感

技能実習制度は国際貢献のための制度なので、他の在留資格からの変更は予定されていません。

 

現実に人手不足の企業が技能実習生を受け入れていることが多い、という実態とは乖離していますが、制度趣旨が異なるということをご説明させていただきました。

解決実績 1| アルバイトの留学生を技能実習生とすることができるか