技能実習生にコロナの感染者が出た場合の監理団体の対応
ご相談分野:その他
業種:監理団体
1 相談内容
技能実習生にコロナの感染者が出た場合、監理団体としてできることはあるか。例えば、技能実習生は一つのアパートで、数名が暮らしているというケースが多いが、同室者の中で感染者が出た場合、どう対応したらよいか。
2 争点
技能実習生にコロナの感染者が出た場合、監理団体はどのように対応するべきか。
3 解決内容
技能実習生にコロナの感染者が出た場合、監理団体としては、実習実施者の対応が労働関係法令に沿っているか確認し、労働関係法令違反が認められる場合は適切に指導を行う責任があります(技能実習法40条3項)。
実習生の一人がコロナの陽性と判断された場合、同室者も保健所に濃厚接触者として把握され、最低でも14日間は症状がなくても保健所による健康管理がなされることになります。
緊急事態宣言下において、コロナの陽性もしくは濃厚感染者としての隔離を実施する場合、企業に休業手当の支払い義務はないと解されます。技能実習では業務の性質上、テレワークは不可能な場合が多いでしょうし、配置転換をして技能実習を継続することも困難であるからです。
他方で、コロナの疑いがある、というだけで会社が休業を命じる場合は休業手当の支払義務がある、と解されます。監理団体としては、自主的に休業を命じたにも関わらず休業手当を支払っていない場合は、労基法に違反するものとして、適切に指導を行うことが必要となります。
なお、休業手当の支払い義務がない場合でも一定の要件を満たした場合は健康保険の傷病手当金の支給を受けられる場合がありますので、その点も確認しておくべきでしょう。
4 弁護士の所感
技能実習生は共同生活を送っていますので、一人の技能実習生がコロナの陽性になった場合、他の実習性も濃厚接触者として取り扱われることが多くなります。実習実施者は技能実習生を含めた労働者全般に対する安全配慮義務を負っておりますので、その点の対応が適切にされているのか、休業を命じた際に休業手当の支払いが必要であるにもかかわらず支払いがなされていないかを確認の上適切に指導する必要があります。