vol.05 2017/12/20
技能実習生の宿泊施設はちゃんと確保できていますか? その1
監理責任者等の養成講習が各機関で開催されていますが、
皆様は既に受講を終えられたでしょうか。
当職は先日、JITCOが主催する養成講習の受講を終えてきました(理解度テストは無事に満点をいただきました)。
これで改めて外部監査人としての業務に従事することができます。
それでは、第5回メルマガの配信です。
今号の目次
- 技能実習生の宿泊施設はちゃんと確保できていますか? その1
- 技能実習制度Q&A「技能実習生を含め常時10人の労働者を使用する事業場も、就業規則の作成は必要でしょうか?」
- あとがき
1. 技能実習生の宿泊施設はちゃんと確保できていますか? その1
技能実習生を日本に受け入れるにあたって、団体監理型技能実習の場合には、
監理団体として監理事業を行うことの許可を得たうえ、
実施予定の技能実習計画について、技能実習機構の認定を受けなければなりません。
その際に、団体監理型技能実習の場合には、
申請者(実習実施者となるべき者)又は監理団体が、技能実習生のための適切な宿泊施設を
確保していなければなりません(技能実習法9条9号、技能実習法施行規則14条1号)。
今回は、この宿泊施設について解説いたします。
まず、適切な宿泊施設であるために、
原則として以下の要件を満たしていなければなりません。
①宿泊施設を確保する場所は、爆発物や可燃性ガス等の火災による危険の大きい物を取扱い、
又は貯蔵する場所の付近、高熱やガス、蒸気や粉塵の発散等の衛生上有害な作業場の付近、
騒音や振動の著しい場所、雪崩や土砂崩壊のおそれのある場所、湿潤な場所、
出水時浸水のおそれのある場所、伝染病患者収容所建物及び病原体によって
汚染のおそれの著しいものを取り扱う場所の付近を避ける措置を講じていること
②2階以上の寝室に寄宿する建物には、容易に屋外の安全な場所に通ずる階段を2か所以上
(収容人数15人未満は1か所)設ける措置を講じていること
③適当かつ十分な消火設備を設置する措置を講じていること
④寝室については、床の間及び押入れを除き、1人当たり4.5㎡以上を確保することとし、
個人別の私有物収納設備、室面積の7分の1以上の有効採光面積を有する
窓及び採暖の設備を設ける措置を講じていること
⑤就眠時間を異にする2組以上の技能実習生がいる場合は、寝室を別にする措置を講じていること
⑥食堂又は炊事場を設ける場合は、照明及び換気を十分に行い、食器や炊事用器具を清潔に保管し、
ハエその他の昆虫やネズミ等の害を防ぐための措置を講じていること
⑦他に利用し得るトイレ、洗面所、洗濯場、浴場のない場合には、当該施設を設けることとし、
施設内を清潔にする措置を講じていること
⑧宿泊施設が労働基準法第10章に規定する「事業の附属寄宿舎」に該当する場合は、
同章で定められた寄宿舎規則の届出等を行っており、又は速やかに行うことにしていること
(なお、「事業の附属寄宿舎」とは、事業経営の必要上設けられる等、
事業との関連を持つ宿泊施設であって、常態として相当人数の労働者が宿泊し、
共同生活の実態を備えているものをいいます)
いわゆるアパートを社宅として技能実習生の宿泊施設の用に供している場合には、
大概はこれらの要件を満たしていますので、あまり神経質になる必要はないものと思います。
では、プレハブやコンテナを技能実習生の宿泊施設の用に供する場合はいかがでしょうか。
次回は、プレハブやコンテナを技能実習生の宿泊施設の用に供する場合の注意点について、
ご説明いたします。
2. 技能実習制度Q&A
「技能実習生を含め常時10人の労働者を使用する事業場も、就業規則の作成は必要でしょうか?」
【質問】
今回技能実習生を受け入れる会社が、
その技能実習生も含めると常時10人の労働者を使用する事業場に該当するのですが、
このような場合でも就業規則の作成は必要でしょうか。
【回答】
技能実習生はあくまで技能実習を実施するために日本に入国していますが、
技能実習期間中は労働者と同様に保護されなければなりません。
そして、就業規則については労働基準法89条に規定がありますが、
89条に規定する「常時十人以上の労働者」の「労働者」には技能実習生も含まれます。
よって、技能実習生も含めると常時10人の労働者を使用する事業場に該当する場合には、
就業規則の作成が必要になります。
3. あとがき
このたびは第5回のメールマガジンをお読みくださり、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、
「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください
(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、
悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、
もし万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
今後とも宜しくお願い致します。