vol.06 2018/01/22
技能実習生の宿泊施設はちゃんと確保できていますか? その2
技能実習法が施行されてから早3ヵ月が過ぎようとしています。
当職は先月、
それでは、第6回メルマガの配信です。
今号の目次
- 技能実習生の宿泊施設はちゃんと確保できていますか? その2
- 技能実習制度Q&A「帰国費用は監理団体が負担しなければならないと規定されています
が、実習実施者に対して実費として請求することもできないのでしょう か。」 - あとがき
1. 技能実習生の宿泊施設はちゃんと確保できていますか? その2
前回、技能実習生のための適切な宿泊施設とはどのような宿泊施設を指すのか、
法令上の要件を解説させていただきました。
いわゆるアパートを社宅として技能実習生の宿泊施設の用に供している場合には、
大概は法令上の要件を満たしていますので、あまり神経質になる必要はないものと思います。
問題となってくるのは、プレハブやコンテナを技能実習生の宿泊施設の用に供する場合です。
以前からプレハブやコンテナを事業所として活用したり住居として活用したりというのは
散見されてきましたが、プレハブは簡易な工法で効率よく建設された建物であるうえ、
コンテナに至っては本来貨物輸送のために用いられるものです。
果たして、プレハブやコンテナであっても「適切な宿泊施設」といえるのでしょうか。
まず、プレハブに関しては、法令上の要件を満たしさえすれば、
「適切な宿泊施設」といえそうです。
プレハブ工法と呼ばれる比較的簡単な工法であるとはいえ、
土地に定着する建築物(建築基準法2条1号)であって一定の構造耐力を有していますし、
多くの場合に建築確認(建築基準法6条)を取ることになりますので(一定の例外はありますが)
法令違反の建築物が建築されるリスクは低くなります。
一方、コンテナに関しては、色々と問題が生じてきます。
まず、コンテナがそもそも土地に定着する建築物に当たるのか否かという問題があります。
この点については、私は、コンテナが土地に定着し容易に移動することができないものになっている以上、
建築物に当たると考えています(そもそも、建築物に当たらないものを技能実習生に
宿泊施設として提供した場合、果たしてそれは「適切な宿泊施設」といえるのでしょうか)。
そして、建築物に当たる以上、原則として建築確認を取らなければなりません。
建築確認を取らないといけない場合、コンテナにコンクリート造の基礎を設けなければなりません
(建築基準法施行令38条、平12建告第1347号)。
これらの条件を全てクリアしていれば、コンテナであっても「適切な宿泊施設」に該当する可能性がありますが、
例えば建築物に当たらないから建築確認を取る必要がないと思っていたり、
建築物に当たるけれども建築確認の申請を怠っていたり、本来基礎が杜撰であるにもかかわらず
書類をごまかして建築確認を取得していたり、色々なリスクが考えられます。
違法な建築物と判断されれば、都道府県や市町村から除却命令が出て、
当該コンテナを撤去しなければならなくなります。
これでは技能実習生の生活の基盤があまりに不安定となってしまって「適切な宿泊施設」とは到底言えません。
誤解をしていただきたくないのが、コンテナだから技能実習生の宿泊施設には
適さないと申し上げているのではありません。
コンテナの場合には、しっかり基礎があるか、建築確認を取得する必要があるか、
実際に建築確認を取得しているか、慎重に判断しなければならないと申し上げているのです。
コンテナは安価に設置ができるので家賃も安くなり、その分技能実習生の負担も軽くなるというメリットがあります。
是非、色々な仕組みを使い分けていただきたいと思います。
2. 技能実習制度Q&A
「帰国費用は監理団体が負担しなければならないと規定されていますが、
実習実施者に対して実費として請求することもできないのでしょうか。」
【質問】
帰国費用は帰国理由の如何を問わず監理団体が負担しなければならないと規定されていますが、
監理団体が負担したあと実習実施者に対して実費として請求することもできないのでしょうか。
【回答】
技能実習生保護の観点から、まず監理団体が帰国費用を確保し、
技能実習生に対して負担しなければなりません。
実際にかかった帰国費用を監理団体と実習実施者のいずれが最終的に負担するかは
監理団体と実習実施者との間の問題ですので、実際にかかった帰国費用を
監理団体が実習実施者に対して請求することは禁止されていません。
3. あとがき
このたびは第6回のメールマガジンをお読みくださり、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、
「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください
(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、
悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、
もし万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
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