vol.18 2019/01/21
新たな外国人材受入れに関する政省令案について
厚生労働省の公表資料によると、法務省と厚生労働省は、
平成30年12月27日付で、協同組合クリエイティブ・ネットの監理団体の許可の取消と、
この監理団体傘下の実習実施者である、タミワ玩具株式会社、有限会社フジモト、
明加繊維株式会社の技能実習計画の認定取消を通知しました。
技能実習法施行後における初の監理団体許可の取消処分になります。
各実習実施者は、入国後講習期間中に技能実習生を業務へ従事させており、
さらには外国人技能実習機構の実地検査において、虚偽の報告を行い、
取締役が技能実習生に対して虚偽の答弁を行うよう指示する等していた実習実施者もいたとのことです。
技能実習計画齟齬について外国人技能実習機構が監理団体に対する注意喚起を行っていたことは
昨年8月のメールマガジンでもお伝えしていた通りですから、それに違反した実習実施者の技能実習計画が
認定取消となったのはやむを得ないといえるでしょう。
そして、協同組合クリエイティブ・ネットは外国人技能実習機構による実地検査において
虚偽の入国後講習実施記録の提出を行ったとのことであり、
監理団体の許可を取り消されることもむしろ当然であると言えます。
技能実習生の多くが新在留資格である「特定技能」に移行する見通しであることから、
政府が現行の実習制度への監督体制を強化している、等という報道も見受けられるところです。
日々の業務での疑問点はそのままにせずお気軽に御相談下さい。
弁護士法人グレイスは、監理団体の皆様を強力にサポートして参ります。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
それでは、第18回メルマガの配信です。
今号の目次
- 新たな外国人材受入れに関する政省令案について
- あとがき
1. 新たな外国人材受入れに関する政省令案について
昨年12月25日、政府は
「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」を閣議決定しました。
人材困難な分野として指定された14業種(介護業、ビルクリーニング業、素形材産業、
産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、
航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)の分野別運用方針には、
受け入れ見込み数や技能試験の開始時期が記載されています。
改正入管法が施行される本年4月時点で技能試験が実施されるのは宿泊業、介護業、外食業の
3業種のみであり、当面は、改正入管法の対象となるのは試験が免除される
2号技能実習の修了者となることが明らかになりました。
そして、昨年12月28日には新たな外国人材受入れに関する政省令案概要等が公表され、
パブリックコメントの募集の手続きが取られています(本年1月26日までが意見募集期間とされています)。
「新たな外国人材受入れに関する政省令の骨子案(イメージ)」によれば、
政省令案概要等は以下から構成されています。
1. 新たに設ける省令
(1)契約、受入れ機関、支援計画等の基準に関する省令
(2)分野、技能水準に関する省令
2. 既存の省令の改正
(3)上陸基準省令(※外国人本人の基準等)
(4)出入国管理及び難民認定法施行規則(※登録支援機関の登録に関する規定等)
上記のうち、監理団体の皆様がおそらく一番関心を持たれているのは、
(4)出入国管理及び難民認定法施行規則で規定される登録支援機関の要件かと思います。
ここでは、登録支援機関の登録拒否要件のうち、
「支援業務を的確に遂行するための必要な体制が整備されていない者として法務省令で定めるもの」
(出入国管理及び難民認定法第19条の26第1項第14号)について確認しておきましょう。
【「支援業務を的確に遂行するための必要な体制」として想定されているもの】
出入国管理及び難民認定法施行規則概要等では、「支援業務を的確に遂行するための必要な体制」として
以下の要件を全て充たすことが必要であると解されます。
1. 過去1年間に登録支援機関になろうとする者において、
その者の責めに帰すべき事由により外国人の行方不明者を発生させていない者
2.(1)~(4)のいずれかに該当する者
(1)過去2年間に就労系在留資格の中長期在留者の受入れを適正に行った実績があり、
かつ役員又は職員の中から「支援責任者」及び1名以上の「支援担当者」を選任している者
(2)役員又は職員の中から「支援責任者」及び1名以上の支援担当者
(過去5年間に就労系在留資格の中長期在留者の生活相談業務に従事した
一定の経験を有するものに限る)が選任されている者
(3)過去2年間に報酬を得る目的で業として日本に在留する外国人に関する
各種の相談業務に従事した経験を有する者
(4)上記(1)~(3)と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認められたもの
3. 情報提供及び相談対応に関し次のいずれにも該当する者
(1)適合一号特定技能外国人支援計画に基づき情報提供すべき事項について、
特定技能外国人が十分に理解することができる言語により適切に情報提供する体制を有している者
(2)特定技能外国人からの相談に係る対応について、担当の職員を確保し、
特定技能外国人が十分に理解することができる言語により適切に対応する体制を有している者
(3)特定技能外国人及びその監督をする立場にある者と
定期的な面談を実施することができる体制を有している者
上記の各要件は、監理団体の皆様であれば概ね現在行っている業務体制によって
充足されているもののように思われます。現段階では政省令の概要しか公表されていませんので、
政省令の詳細が公表されましたら、皆様に情報提供をさせていただきたいと考えております。
2. あとがき
このたびは第18回のメールマガジンをお読みいただき、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、
「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください
(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、
悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、
もし万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
今後とも宜しくお願い致します。