vol.35 2020/6/20
「コンビニ」は「特定技能」に追加されるか?
2020年5月25日、政府は緊急事態宣言を解除しました。とはいえ、現在技能実習生は海外から入国できず、また、技能実習が修了した実習生も帰国する目途がなかなか立たないというところがほとんどです。
前回メールマガジンでお伝えした「新型コロナウイルス感染症の影響により実習が継続困難となった技能実習生等に対する雇用維持支援について」(以下「本件支援」という)は、「新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され,実習が継続困難となった技能実習生,特定技能外国人等」が対象となっているとされていましたが、外国人技能実習機構のホームページで令和2年5月22日付けで更新された本件支援においては、「新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され,実習が継続困難となった技能実習生,特定技能外国人のほか,例えば,「技術・人文知識・ 国際業務」や「技能」などの就労目的の在留資格で就労していたが雇い止めになった外国人や,就労予定だったが採用内定取消になった又は教育機関の所定の課程を修了した外国人留学生なども対象となります。」とされており、範囲が広がっているような記載があります。
ただし、上記の記載については、「新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され,実習が継続困難となった」ことが前提とされており、例えば、帰国便が決まっている技能実習生がやはり日本に残りたい、等と言ってきた場合は対象外となります。また、「新たな受入れ機関との雇用契約の成立後,『特定活動』への在留資格変更許可申請を行うことが必要です」とされていますので、ご留意いただければと存じます。
今号の目次
- 「コンビニ」は「特定技能」に追加されるか?
- あとがき
1. 「コンビニ」は「特定技能」に追加されるか?
報道によると、自民党の外国人労働者等特別委員会は17日、昨年4月に新設された外国人労働者の在留資格「特定技能」の対象業種に、コンビニエンスストアを追加するよう求める提言をまとめ、来年度予算案の編成に向けた政府の「骨太の方針」に盛り込むように求める方針とのことです(朝日新聞デジタル2020年6月17日)。
この理由として、「コンビニはすでに留学生など外国人が多く働いているため、業界はリーダー層の育成を目指したい」ということが上がっているそうですが、これを読んでなんでこれが特定技能なのか、と思われた方はいらっしゃいませんでしょうか。
本来特定技能は、即戦力となる外国人労働者を採用することを目的としたものです。これは「中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており,我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため,生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において,一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められているものです。」(令和2年4月1日改正「特定技能外国人受入れに関する運用要領」1頁)。
なお、当事務所はイシン株式会社が運営する「特定技能Online」に外国人雇用法務の専門家として取り上げていただきました(http://tokuteiginou-online.com/gracelaw/)。今後も皆様のお役に立てるよう努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。
2. あとがき
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、悪しからずご了承ください)。