vol.37 2020/8/20
レジデンストラックについて
今年の夏は猛暑ですが、皆様体調を崩されておられませんでしょうか。
技能実習生の入国ができない状況が続いており、入国できない技能実習生について、企業からキャンセルの申出を受けている、といったお話を伺うケースが多くなっています。
そんな中、極めて厳しい条件ではありますが、入国再開に向けた動きがでておりますので、今回のメールマガジンではその留意点についてご説明したいと思います。
当事務所は多くの監理団体様から様々なご相談を受けておりますので、少しでも「おかしいな」と思われた際はお気軽にご相談下さい。
今号の目次
- レジデンストラックについて
- あとがき
1. レジデンストラックについて
報道によると、自民党の外国人労働者等特別委員会は17日、昨年4月に新設された外国人労働者の在留資格「特定技能」の対象業種に、コンビニエンスストアを追加するよう求める提言をまとめ、来年度予算案の編成に向けた政府の「骨太の方針」に盛り込むように求める方針とのことです(朝日新聞デジタル2020年6月17日)。
この理由として、「コンビニはすでに留学生など外国人が多く働いているため、業界はリーダー層の育成を目指したい」ということが上がっているそうですが、これを読んでなんでこれが特定技能なのか、と思われた方はいらっしゃいませんでしょうか。
在ベトナム日本国大使館は、ホームページにおいて、「ベトナム人の訪日査証等の申請及び渡航について:7月29日受付開始(国際的な人の往来再開に向けた段階的措置)」を公表しました(2020年8月5日に更新されています)。
https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/corona0722.html
要旨は以下のとおりです。
-
- 国際的な人の往来再開に向けた段階的措置に基づいて,ベトナムにおいては,7月29日から一部対象について新規査証等の申請受付を開始すること
- ベトナム人の方が,同措置の「レジデンストラック」を利用して日本への新規入国又は再入国を希望される場合,当館において新規査証(ビザ)又は再入国関連書類提出確認書の発給を受けることが必要なこと
- 3月27日までに発給された査証の効力は引き続き停止されていること
- 本措置により新たな査証の発給を受けた場合,既に所持している査証は失効すること
上記の「レジデンストラック」とは、一般の国際的な往来とは別に設けた例外枠で、入国後14日間の自宅等待機等の措置を取りつつ、双方向の往来を再開するものです。
今回のメールマガジンでは特に気を付けていただきたい2点を抜粋してご紹介いたします。
I 新規査証及び再入国関連書類提出確認書の申請について
特に「技能実習」及び「特定技能」の在留資格に係る申請
※当該在留資格については,多数の申請が予想される中,発給可能数が限られていることから,まずは対象者を限定して受付を開始し,今後,順次拡大していきます。
現在の対象者は以下のとおりです。
(ア) 新規査証の申請
○ 発給日(Date of issue)が2020年1月6日~3月27日である「技能実習」又は「特定技能」の日本国査証を有し,我が国による水際対策措置のために渡航できなかった方
※なお,今後は,
- 現在,在ベトナム日本国大使館に査証申請中の方
- 上記(1)を除き,2019年10月1日~2020年3月27日までに作成された「技能実習」又は「特定技能」の在留資格認定証明書を有する方
- 上記以外で新規に査証を申請する方
(イ)再入国関連書類提出確認書の申請
○ 再入国許可(みなしを含む)を取得して日本を出国中の方
※2020年4月2日以前に日本を出国した方は,こちらの措置も利用できます。
https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/corona0730.html
II 日本への入国に際する措置(現行の水際措置及び追加の防疫措置)について
日本への入国に際しては,新規査証又は再入国関連書類提出確認書の取得に加え,「誓約書」及び「PCR検査証明」を携行するほか,入国後14日間の自宅等待機など,以下の措置に従っていただく必要があります。
これらの追加的な防疫措置については,受入企業・団体側がその実施を確保するために必要な措置をとることが求められています。受入企業・団体は,本措置について十分に理解した上で,対象者に対して丁寧な説明を行ってください。
◎ベトナム(出国前)
□ 新規査証又は再入国関連書類提出確認書の取得
□ 14日間の健康モニタリング(1)
□ PCR検査証明の取得(2)
□ 民間医療保険への加入(3)
◎日本(入国時)
□ 空港でのPCR検査(4)
□ 質問票の提出(5)
□ 誓約書の提出(6)
□ 接触確認アプリの導入等(7)
◎日本(入国後)
□ 14日間の公共交通機関不使用(8)
□ 14日間の自宅等待機(9)
□ 14日間の健康フォローアップ(10)
□ 14日間の位置情報の保存(11)
(1)14日間の健康モニタリング
日本入国前14日間は毎日検温し,発熱(37.5℃以上)や呼吸器症状,倦怠感など新型コロナウイルス感染症の症状が認められる場合には渡航を中止してください。結果の事前提出は不要ですが,入国時に提出する質問票(以下(5)参照)に健康状況として反映してください。
(2)PCR検査証明
ベトナム出国(※搭乗予定航空便の出発時刻)前72時間以内に「検査証明」を取得し,日本入国時,空港の検疫に掲示の上,入国審査の際に提出してください。
PCR検査証明の様式は、原則として所定のフォーマットを使用し、現地医療機関に記入及び署名を求めてください。当該フォーマットに対応する検査機関がない場合には、任意の様式の提出も可としますが、検疫及び入国審査に時間がかかることがありますので御了承ください。なお、任意の様式は、(1)人定事項(氏名、パスポート番号、国籍、生年月日、性別)、(2)COVID-19の検査証明内容(検査手法、検査結果、検体接種日時、検査結果決定年月日、検査証明交付年月日)、(3)医療機関等の情報(医療機関名(又は医師名)、医療機関住所、医療機関印影(又は医師の署名))の全項目が英語で記載されたものに限ります。
(参考:在ベトナム日本国大使館が把握しているベトナムでの検査可能医療機関)
「108病院」
住所 :ハノイ市ハイバチュン区バクダン町チャンフンダオ通1号
連絡先 :+84-24-6278-4169
検査提供時間:平日及び土曜日午前8時~10時,午後14時~15時
必要書類 :査証又は再入国関連書類提出確認証、航空券
(3)民間医療保険への加入
入国時までに,民間医療保険(滞在期間中の医療費を保障する旅行保険を含む)に加入しているようにしてください。なお,入国時点で日本の公的保険制度(健康保険や国民健康保険)に加入している場合は,この限りではありません。
(4)空港でのPCR検査
日本の空港において,全員にPCR検査(※1)が実施され,自宅等(※2),空港内のスペース又は検疫所長が指定した施設等で結果が判明するまで待機してください。結果判明まで1日~2日程度待機いただく状況が続いています。検査結果が陽性の場合,医療機関への入院又は宿泊施設等での療養となります。
※1:代替可能な検査方法が確立された場合,その方法で実施される場合もあります。
※2:自宅等で結果を待つ場合,症状がないこと,公共交通機関を使用せず移動することが条件となります。
(5)質問票の提出
入国便の機内で全乗客に配布される質問票に記入し,空港の検疫所に提出してください。
(6)誓約書の提出
新規査証又は再入国関連書類提出確認書申請時に提示した誓約書の原本を空港の検疫に提出してください。新規査証又は再入国関連書類提出確認書の申請受付時,原本が返却されたことを必ず確認してください。
(7)接触確認アプリの導入等
空港の検疫及び入国審査の際に確認を行いますので,入国時までに以下のアプリケーションを導入・設定しておいてください。
(ア) 厚生労働省が指定する接触確認アプリ
入国後14日間,同アプリの機能を利用してください。
(イ) LINEアプリ
(ウ) 地図アプリ(位置情報を保存可能なもの)
(8)14日間の公共交通機関不使用
自宅等への移動は,公共交通機関(鉄道,バス,タクシー,航空機(国内線),旅客船等)を使用しないことが条件となります。受け入れ先企業等による送迎,自身で車を手配するなど,事前に移動手段を確保してください。
(9)14日間の自宅等待機
入国後14日間は,自宅やご自身又は受け入れ企業等が確保した宿泊施設等で不要不急の外出を避け,待機することが要請されます。
(10)14日間の健康フォローアップ
企業・団体の受入れ責任者に,入国後14日間毎日,健康状態を報告してください。報告を受けた責任者は,あらかじめ設定を行ったLINEアプリを通じで,対象者の健康状態を報告してください。
なお,入国者本人が日本語でのやりとりが可能であり,かつ日本国内の電話番号のスマートフォンをお持ちの場合には,自身でLINEアプリをインストールして報告を行うことも可能です。
(11)14日間の位置情報の保存
地図アプリ等を利用し,入国後14日間の位置情報を保存してください。
上記のとおり、日本への入国に当たっては、極めて厳格な要件が設けられています。おそらく、PCR検査の負担について難色を示す企業様もいらっしゃるのではないかと思います。検査費用の負担をどのようにするか、また、入国にかかる経費の増加分の負担をどのようにするか、という点について企業様としっかり協議をしておく必要があるかと思います。
本来特定技能は、即戦力となる外国人労働者を採用することを目的としたものです。これは「中小・小規模事業者をはじめとした人手不足は深刻化しており,我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性が出てきているため,生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において,一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することが求められているものです。」(令和2年4月1日改正「特定技能外国人受入れに関する運用要領」1頁)。
なお、当事務所はイシン株式会社が運営する「特定技能Online」に外国人雇用法務の専門家として取り上げていただきました(http://tokuteiginou-online.com/gracelaw/)。今後も皆様のお役に立てるよう努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。
2. あとがき
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、悪しからずご了承ください)。