vol.43 2021/03/01
福利厚生と費用負担
今号の目次
- 監理団体等に変更があった場合の当事者間における同意
- 企業保有自転車の貸与
- 当事務所の強み
1. 監理団体等に変更があった場合の当事者間における同意
技能実習制度の下では、監理団体や実習実施先企業が負担すべき費用を技能実習生に負担させるようなことはあってはなりません。
他方、技能実習制度とは無関係に、私的な費用を技能実習生が負担することは何ら問題ありません。
実務においては、当該費用を技能実習生に負担させて良いのか、判断に悩まれる場面も少なくないのではないかと拝察致します。
以下では、具体例を参考に検討していきます。
2. 企業保有自転車の貸与
移動手段として会社保有の自転車を技能実習生に貸与している場合、タイヤがパンクした場合、パンク修理費用を技能実習生に負担させることは許されるでしょうか。
会社への通勤用として利用しているような場合には、技能実習生に負担させるべきではなく、実習実施先企業が負担すべきと言えるでしょう。
なぜなら、実習実施先企業は自転車を技能実習生に貸与することにより、交通費等の支出を免れるという利益を受けているためです。
他方、完全にプライベートで使用するために自転車を技能実習生に貸与しているような場合には、その修理代を技能実習生に負担させても差し支えありません。
問題は、通勤用としても利用しているし、プライベートでも利用を認めている、といった例でしょう。
このような場合、例えば、週のうち5日通勤に利用し、週のうち2日はプライベートで使用していることから、その費用を7分し、それらのうち5を実習実施先企業が負担し、残りの2を技能実習生に負担してもらう、という考え方は合理的な考え方の1つです。
3. 当事務所の強み
上記の例はほんの1つの例に過ぎません。技能実習制度を運用していく中で日々、技能実習制度、技能実習法の解釈に悩まれ、また、運用要領にも明記されていない事態に出くわすことも多くあることと存じます。
技能実習法は平成29年11月に施行された新しい法律ですので、裁判例等の蓄積も少なく、運用要領に明記されていない問題等については、他の民事・商事法における知見を活用して、判断をすべき事項も少なくありません。
当事務所では、技能実習制度開始の黎明期より、多くの監理団体、実習実施先企業様等からのご相談をお受けしてきました。
当初より、法律事務所特有の法的紛争に関する膨大に蓄積された知見を活かしながら、多くの監理団体様等に対して、法的助言を差し上げて参りました。
今後も皆様のお役に立てるよう努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。