vol.44 2021/04/01
競業避止義務
今号の目次
- 実習生の“争奪戦”
- 競業避止義務の有効性
- 当事務所の強み
1. 実習生の“争奪戦”
従前、監理団体の変更に関して、旧監理団体の同意が必要であるか、という記事をご紹介しました。
コロナ禍において、実習生の新たな入国が困難となっている状況下では、いわば入国済みの実習生の“争奪戦”が生じていることも耳にするところであります。
当然このような事態は技能実習制度のあるべき姿とはかけ離れており、大変心を痛める内容です。
他方、監理団体間ではなく、ある監理団体を退職した者が独立して新たな監理団体を設立した上で、従前関わりのあった実習生等に移籍を促す、または、他の監理団体に入社した後、やはり、既知の実習生等に声をかける、といった事態もまた、耳にするところです。
このような事象に関しては、従業員の競業避止義務が問題となるところですので、競業避止義務についてご紹介を致します。
2. 競業避止義務の有効性
従業員に競業避止義務を課す合意をされている監理団体も多くあると思います。
しかし、競業避止義務は、労働者の職業選択の自由という憲法上の要請にも関連する問題であるため、労働者との間の合意が存在しても、無効となる可能性があります(合意によっても解除できない要請を「強行規定」といいます。)。
競業避止義務に関する合意が有効となるためには①使用者側の守ろうとする利益は何か②労働者の地位はどのようなものか③期間・地域・対象等の制限はあるか④代償措置は取られているか等が総合的に判断されます。
特に①については「営業秘密」(不正競争防止法2条第6項)が保護すべき対象であることは明らかですが、単なる営業情報は一定の範囲で保護されるに過ぎません。
また、上記①乃至④の事情とは別に、旧監理団体に所属していた時分から、新規の独立を目指して、又は新監理団体への就職を見越して、実習生等に働き掛けをしていたような事案では、比較的競業避止義務違反が認められやすい傾向にあります。
3. 当事務所の強み
上記のように競業避止義務に関連する問題は、監理団体にとって由々しき問題である一方で、職業選択の自由という憲法上の要請とも関連することから、法的な判断は複雑なものとなってしまいます。
いかに有能な法律家でも事案は変わることが出来ませんので、このような問題には日頃から密に専門家とコミュニケーションを取ることが極めて重要となってまいります。
当事務所では、企業の皆様にとって「法務部のアウトソーシング」といったイメージでご利用いただけるよう、「chatwork」をはじめ、皆様からご相談いただきやすい環境作りに努めております。
今後も皆様のお役に立てるよう努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。