vol.51 2021/11/01
水際対策強化に係る新たな措置(19)
今号の目次
- 水際対策措置の緩和
- 本措置の内容
- 特定活動が可能となる要件(技能実習)
- PCR検査の費用負担について
- まとめ
1. 水際対策措置の緩和
日本国政府が令和3年11月8日、「水際対策強化に係る新たな措置(19)」(「本措置」といいます。)により、外国人技能実習生や留学生等の新規入国を制限付きで認めたことは記憶に新しいことかと存じます。
また、今月26日からは1日当たりの入国者数制限を3500人から5000人に緩和することが発表されました。
本稿では、改めて本措置について、その概要及びよくある質問等についてご紹介致します。
2. 本措置の内容
本措置では①新規入国許可(外国人新規入国制限を緩和し、短期ビジネス滞在・長期滞在の新規入国を許可すること)②待機期間の短縮(受入責任者の管理の下、ワクチン接種済者に対して、待機期間を14日から10日に短縮すること)③行動制限緩和(待機期間中、4日目以降から活動計画書に沿った活動(特定活動)を可能とすること)等が含まれます。
3. 特定活動が可能となる要件(技能実習)
在留資格を技能実習として入国する場合で、上記「2」③の行動制限緩和措置(特定活動)を受けるためには、以下の要件が求められます。
すなわち①誓約書に基づく防疫措置をとること(各在留資格共通)②一般監理事業での許可を得た監理団体により実習監理を受けていること③受入企業及び一般監理団体が過去3年間、技能実習法に基づく行政処分等を受けていないこと④申請する入国者の在留資格認定証明書の作成日が、「別途定める条件」で定めた範囲内であること、の各要件を充足することが必要となります。
これらのうち③「行政処分等」とは改善命令以上の処分となります。
また、④「別途定める条件」とはア 令和3年11月の利用対象者について2020年1月1日から2020年6月30日まで イ令和3年12月の利用対象者→2020年1月1日から2020年12月31日まで ウ 令和4年1月の利用対象者→2020年1月1日から2021年3月31日まで、とされています。
*詳細は令和3年11月5日付、出入国在留管理庁等発「水際対策強化に係る新たな措置(19)実施要領に基づき 留学・技能実習に関して別途定める条件について」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100256103.pdf)。
4. PCR検査の費用負担について
本措置では、入国前後においてPCR検査等による陰性証明が不可欠となります。
当該検査費用につきましては、団体監理型の場合に「その他諸経費」(技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に資する費用(実費に限る。))として、 実習実施者から徴収することは認められるものの、実習生本人に負担させることは出来ないものとされている点に特にご留意ください。
*厚生労働省HP「技能実習生が外国人の新規入国制限の見直しを利用して入国する場合に関するよくあるご質問について」Q18を参照(https://www.mhlw.go.jp/content/000858946.pdf)。
5. まとめ
本措置については、制度自体が複雑なことや窓口やQ&Aが分散していること、全体的な計画が見えにくいこと等に批判的な意見はあります。
他方で、感染症対策と経済活動の再開の両立実現に向けた大きな1歩を踏み出せたことは喜ばしいことと存じます。
今後も技能実習制度に携わる皆様方にとって有益な情報を発信出来るよう努めて参りますので、何卒よろしくお願い致します。