vol.53 2022/01/01
今後の特定技能制度・技能実習制度に関する展望
今号の目次
- 高齢化の推移と将来予測
- 生産性の停滞
- 特定技能制度・技能実習制度の今後の展望
- まとめ
1. 高齢化の推移と将来予測
内閣府の公表する「令和2年版高齢社会白書」によれば、令和2年度(2020年)では総人口が1億2532万人、高齢化率(全人口に占める65歳以上の人口の割合)は28.9%となっています。
これが2065年では総人口が8808万人、高齢化率は38.4%と予想されています。
また、令和元年度、65歳から69歳までの年代で収入のある仕事をしている人は男性で60.1%、女性で38%となっています。
このように本邦は世界でも類を見ない高齢化の進む国で、高齢者の就業率も今後増えていくことが予想されます。
この意味で労働者人口が不足するという指摘があることはご承知のとおりです。
2. 生産性の停滞
他方、OECDデータによれば、2020年、本邦の時間あたり労働生産性(就業1時間によって算出する付加価値)は49、5米ドルで、OECD38カ国中23位、G7では最下位の数値となりました。
また、1人辺り労働生産性に関しては、78、6555米ドルで、OECD38カ国中28位、G7では最下位の数値となりました。
本邦の生産性が向上しない原因の1つに賃金単価の低い外国人労働者に依存することで、産業のオートメーション化が進まないことが指摘されています。
3. 特定技能制度・技能実習制度の今後の展望
上記のような本邦の状況から、特定技能制度・技能実習制度については様々な議論があり、抜本的な見直しが求められています。
日本経済新聞の社説をはじめ「技能実習制度廃止論」も根強く主張されるところです。
また、技能実習法では、附則において、施行日(2017年11月1日)より5年を目処に制度のあり方を検討することが明記されています。
そのこともあってか、古川禎久法務大臣は、特定技能制度・技能実習制度の改革を検討し、そのために勉強会を設けることを明らかにしています。
4. まとめ
上記のように特定技能制度・技能実習制度の今後の展望は、見通しにくい状況ではありますが、本邦の施策の中でもとりわけ重要な論点として認識されております。
日常の特定技能制度・技能実習制度実務を実施しながら、将来の制度設計についても関心を持って適宜情報発信をして参ります。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。