vol.54 2022/02/01
中村屋 書類送検
今号の目次
- 派遣先にも及んだ責任追及
- 法の厳格な運用
- まとめ
1. 派遣先にも及んだ責任追及
和洋菓子、中華まん、カレー等の老舗として知られる株式会社中村屋(東京都新宿区)及び同社社員1名が出入国管理及び難民認定法違反(不法就労助長)で令和3年12月17日、書類送検されました。
「技人国」の資格で入国した外国人らを同社工場で違法に就労させていたとのことで、中村屋に加え、同社に外国人を紹介した人材派遣会社も共に書類送検されました。
派遣先にも摘発が及ぶことは珍しいと報道されています(2022年2月3日 日本経済新聞など)。
2. 法の厳格な運用
本件は「技人国」の在留資格の外国人に資格外就労をさせたことが摘発されました。
しかし、在留資格に関わらず、例えば、技能実習制度でも「技能等の移転による国際協力の推進」という制度の建前とは異なり、技能実習生が労働力の補填として機能しているという指摘はよくなされるところです。
本件は、捜査当局が外国人労働者に関する法規制をより厳格に運用していく姿勢を示した象徴的な例といえ、在留資格に関わらず、参考にすべき事案と考えられます。
3. まとめ
今月号では、社会的インパクトも大きい報道をご紹介しました。
出入国在留管理庁の公表する出入国管理統計表によれば、2020年に交付された在留資格認定証明書のうち、技能実習・留学が占める割合は7割弱となっています。
このことからも、技能実習生や留学生が実態としては、労働力として機能していることが伺い知れます。
本件は正に氷山の一角であり、制度を実態に合わせ違法に運用することに強い警鐘を鳴らした事案と言えるでしょう。
今後も技能実習制度に携わる皆様方に有益な情報発信を心がけて参りますので、何卒よろしくお願い致します。