vol.66 2023/02/01
技能実習生の失踪対策等について
今号の目次
- はじめに
- 技能実習生の失踪を防止するために
- 技能実習生が失踪した場合の対応について
- まとめ
1. はじめに
技能実習生が実習期間中に失踪してしまうことは、従前から大きな問題となっておりますが、実務上、監理団体からも問い合わせが多いトピックなので、本コラムでご紹介させていただきます。
2. 技能実習生の失踪を防止するために
技能実習生の失踪の主な原因としては、賃金等の不払いなど、実習実施者側の不適正な取り扱いと入国時に支払った費用の回収など、実習生側の経済的な事情があると考えられております(令和元年12月24日付「技能実習生制度における失踪問題への対応について」出入国在留管理庁)。
出入国在留管理庁からは、失踪を発生させないために日頃から配慮すべき事項として、以下の項目が指摘されています。
(1)技能実習生に対してはあらかじめ業務内容をよく説明し、仕事内容について納得感をもってもらうこと
(2)トラブルを未然に防ぎ、気持ちよく働いてもらうためにも、給料の仕組みや控除の理由を丁寧に説明すること
(3)異文化への理解を深め、お互いを尊重することで誤解が生じないようにすること
(4)文化等の違いから、指導やアドバイスをしただけのつもりでも、相手に嫌な気持ちをさせてしまうことがあるため、注意すること
3. 技能実習生が失踪した場合の対応について
出入国在留管理庁から、技能実習生が失踪した場合の対応方法として、以下の方法が公表されております(「外国人技能実習生の失踪を発生させないために」出入国在留管理庁HP)。
(1)所在把握のための取り組み
失踪の疑いが生じた場合は、同僚の技能実習生からの情報収集や本人のSNSの発信情報を確認するなどにより、所在把握に努める必要があります。
また、送出機関等と連携しながら、本国の緊急連絡先(当該実習生の家族等)に対して、当該技能実習生からの連絡がないかを確認するとともに、本人に対して、監理団体等の保護下に戻ることや保護を望まない場合は、外国人技能実習機構に連絡すること等を説得することを依頼することになります。
(2)外国人技能実習機構への連絡
失踪が発生し、技能実習の実施が困難になった場合は、技能実習の実施が困難になった事由が発生してから2週間以内に、機構の地方事務所・支所の認定課に技能実習実施困難時届出書の提出、警察署への行方不明届出の提出を行うことになります。
(3)帰国措置又は復帰、転籍支援
所在が判明した場合、本人の希望に応じて、帰国までに必要な措置、復職や転籍等の支援を検討することになります。
(4)失踪理由の把握と再発防止策の検討
技能実習生の所在を確認した場合は、失踪の理由を確認する必要があります。その際、実習実施者側の不適切な取り扱いが行われていないかを本人や同僚の技能実習生からの聴取を含めて、確認することが必要になります。
また、実習実施者による不適切な取り扱いがない場合でも、入国前の丁寧な説明やコミュニケーション等の配慮が行われているか、監理団体と実習実施者の間で点検していただき、再発防止に努めることが重要になります。
4. まとめ
今月号は、技能実習生の失踪対策等についてご紹介させていただきました。
技能実習生の失踪は、失踪した技能実習生に対する入管法違反などの罰則の対象となりうるだけでなく、実習実施先や監理団体に対するペナルティーにも繋がる可能性がありますので、技能実習生の失踪防止策及び再発防止策について検討する際の参考になりましたら幸いです。
今後も皆様には有益な情報を発信できるように心がけていきたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。