vol.08 2018/03/20
問題実習生に対する監理団体の対処法
弊所では300社以上の顧問先企業様とお付き合いさせていただいておりますが、
その中で特に耳目を集めているのが「問題社員に対する会社の対処法」です。
今回のメルマガでは、「問題実習生」に対する「監理団体」の対処法をお伝えしたいと思います。
それでは、第8回メルマガの配信です。
今号の目次
- 問題実習生に対する監理団体の対処法
- 技能実習制度Q&A「技能実習生について未消化の有給があった場合、実習実施者はそれを買い取ることになるのでしょうか。」
- あとがき
1. 問題実習生に対する監理団体の対処法
「問題実習生」にも色々なタイプがいると思いますが、
監理団体の方がどう対処したらいいか頭を悩ませる「問題実習生」のうちの一つに、
「仕事ができない」というタイプがあると思います。
例えば、実習実施者から「そちらで監理している●●という技能実習生が、
あまりに仕事ができないから減給または解雇にしようと思う」といった相談が
監理団体に寄せられることを想定しています。
しかし、技能実習生はそもそも、実習実施者にて実際に業務を行うことを通じて
技能を習得するために日本に入国しているのであり、仕事ができないのは当然です。
もっと言えば、仕事をしに来ているのではなく、技能の修得に来ているのです。
そのため、仕事ができないから減給または解雇というのは言語道断です。
※日本人従業員が仕事ができない場合も、減給や解雇は容易ではありません。
したがって、この場合に監理団体が真っ先に取るべき対処法は、
直接当該実習生と面談してヒアリングを行ったり、
通訳を派遣して技能実習生の技能の修得の手助けをしてもらったり、
実習実施者に依頼して指導担当の日本人従業員を変更してもらったり、といった方法が考えられます。
しかし、このような手段を尽くしてもなお、実習生に改善が見られない場合もあるかと思います。
このとき、引き続き同じ実習実施者にて技能を習得することをサポートし続ける
というのも一案ですが、それ以外に「転籍」させる方法もあります。
転籍はむやみやたらに認められるものではありませんが、
現在の実習実施者の下で技能実習を続けさせることが、
技能実習の適正な実施(や技能実習生の保護)といった趣旨に沿わないと認められる場合には、
例外的に転籍、すなわち実習先の変更をすることができます。
転籍の際には、改めて技能実習計画の認定申請を行うとともに、
転籍の理由書その他転籍を行うことが必要となった事情を明らかにする資料を提出し、
新たな技能実習計画が認定されたことをもって初めて転籍が可能となります。
「転籍を行うことが必要となった事情を明らかにする資料」として、
当該実習生のヒアリング結果や、通訳からの報告書、実習実施者からの報告書等を
技能実習機構に提出することが想定されます。
常日頃からしっかり技能実習生を監理して、
その結果を書面として残しておくことが肝要であると言えるでしょう。
2. 技能実習制度Q&A
「技能実習生について未消化の有給があった場合、
実習実施者はそれを買い取ることになるのでしょうか。」
【質問】
技能実習生について未消化の有給があった場合、
実習実施者はそれを買い取ることになるのでしょうか。
【回答】
技能実習生の有給を買い取ることは禁止されています。
有給とは休暇を取って心身の疲労を回復してもらうことを趣旨としていることから、
日本人の場合であっても原則として有給を買い取ることは禁止されています。
3. あとがき
このたびは第8回のメールマガジンをお読みくださり、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、
「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください
(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、
悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、
もし万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
今後とも宜しくお願い致します。