vol.12 2018/07/20
初の技能実習計画の実習計画の認定取消事例
弁護士法人グレイスの片岡です。今号から、メールマガジンの担当
引き続き皆様に有用な情報を提供できるよう努めてまいりますので
今後ともご愛顧のほど、よろしくお願い致します。
それでは、第12回メルマガの配信です。
今号の目次
- 初の技能実習計画の実習計画の認定取消事例
- 技能実習制度Q&A「技能実習計画が取り消されると、どのような不利益があるのでし
ょうか。」 - あとがき
1. 初の技能実習計画の実習計画の認定取消事例
平成30年7月3日、法務省と厚生労働省は、有限会社エポック(以下、「対象会社」といいます)に対し、
4件の技能実習計画の取消を通知しました。
厚生労働省の報道資料には、新たな技能実習制度の下で初めての認定取消措置であることが明記されています。
参照:厚生労働省ホームページ
報道によると、対象会社は、中国人2名を資格外活動に従事させており、
宇和島簡裁から出入国管理及び難民認定法違反の罪で罰金30万円の略式命令を受けた、とのこと。
これにより、同社は、技能実習計画の認定の欠格事由に該当するものとして(技能実習法10条2号)、
技能実習計画の取消事由(技能実習法16条3号)に該当することになりました。
同社は、逮捕された2人とは別に中国人実習生4人の計画を作成・認定を受け、うち3人を既に受け入れていたものの、
本人の希望に基づき、新たな受け入れ先を探したり、帰国させたりする、とのことでした。
今回のケースは不法就労をさせていたケースなので認定取消しは当然のことだ、
と思われた監理団体の皆様もいらっしゃると思います。
ここで技能実習計画認定の取消事由を改めて見てみると、
「実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせていないと認めるとき」も
認定計画の取消事由となっています(技能実習法16条1項1号)。
技能実習法は、監理団体の皆様が、認定計画に従った技能実習を行うよう
実習実施者に対して適切に指導していくことを求めています。
監理団体の皆様は、3ヵ月に1回以上の頻度で実習実施者に対し定期監査を行うことは
当然にされておられると思いますが、実習実施者が実習認定の取消事由に該当する疑いがあると認めた場合、
直ちに臨時の監査を行うことが求められている、ということを今回の報道を機会に再度ご確認頂ければと思います
(技能実習法39条3項・施行規則52条)。
なお、第1号技能実習の場合は、監査とは別に、監理責任者の指揮の下に、
1ヵ月に1回以上の頻度で、実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせているか
原則として実地による確認を行うとともに、必要な指導を行うことも求められています。
適切な技能実習の実施のため、監理団体の皆様に期待される役割はとても大きいです。
ご不明点がございましたらいつでも弊所までご相談頂ければと存じます。
2. 技能実習制度Q&A
「技能実習計画が取り消されると、どのような不利益があるのでしょうか。」
【質問】
技能実習計画が取り消されると、どのような不利益があるのでしょうか。
【回答】
技能実習を行わせることができなくなり、現在受け入れている技能実習生の受け入れも継続できなくなります。
また、認定の取消しの日から5年間は新たな技能実習計画の認定が受けられなくなります(技能実習法10条)。
3. あとがき
このたびは第12回のメールマガジンをお読みくださり、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、
「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください
(ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、
悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、
もし万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
今後とも宜しくお願い致します。