vol.20 2019/03/20
ベトナム国政府認定送出機関リストからの一部送出機関の削除について
2019年9月5日、弁護士法人グレイスは登録支援機関としての登録が完了しました。
これまでも外国人雇用をお考えの皆様に「特定技能」外国人の利用をお勧めしてきましたが、登録支援機関としての登録が完了したことでより効率的にサポートを行うことが可能になりました。
弁護士法人グレイスグループは一体となって外国人雇用をお考えの皆様のみならず監理団体・登録支援機関のサポートも行ってまいります。特定技能外国人にご興味のある皆様はお気軽にご相談ください。
それでは、第26回メールマガジンの配信です。
今号の目次
- ベトナム国政府認定送出機関リストからの一部送出機関の削除について
- 技能実習法の送出機関とは
- あとがき
ベトナム国政府認定送出機関リストからの一部送出機関の削除について
2019年9月6日、出入国在留管理庁在留管理支援部、厚生労働省海外人材育成担当参事官室、及び外国人技能実習機構は、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省から外国人技能実習機構に対し、下記の2つの送出機関について、日ベトナム間の技能実習制度に関する協力覚書に基づく認定送出機関リストから削除する予定であるとの連絡があったこと、これを受け、同日以降、外国人技能実習機構に対し、技能実習計画の認定申請を行う際に下記の機関を送出機関として利用することはできない旨を明らかにしました。
(https://www.otit.go.jp/files/user/190906-4.pdf)。
記
- TTC Viet Nam Human Resources Joint Stock Company
(ベトナム TTC 人材株式会社:送出機関リスト番号 148) - Viet Human Resources Connection Joint Stock Company
(ベトナム人材接続会社:送出機関リスト番号 226)
昨今ブローカー排除が技能実習・特定技能の重要な課題であると認識されていることは皆様もご承知のとおりかと思いますので、ここで、技能実習法の送出機関の位置づけについて確認しておきましょう。
技能実習法の送出機関とは
外国の「送出機関」とは、団体監理型技能実習生になろうとする者からの団体監理型技能実習に係る求職の申込みを適切に本邦の監理団体に取り次ぐことができる者として主務省令で定める要件に適合するものをいいます(技能実習法23条2項6号)。なお、外国の送出機関のうち、認定申請を行おうとする技能実習計画に係る技能実習生の求職の申込みを実際に監理団体に取り次ぐ送出機関を「取次送出機関」といいます(技能実習法施行規則1条8号)。
そして、主務省令である技能実習法施行規則第25条は、以下の要件を定めています。
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(外国の送出機関)
規則第25条 法第二十三条第二項第六号(法第三十一条第五項及び第三十二条第二項において準用する場合を含む。)の主務省令で定める要件は、次のとおりとする。
一 団体監理型技能実習生の本邦への送出に関する事業を行う事業所が所在する国又は地域の公的機関から団体監理型技能実習の申込みを適切に本邦の監理団体に取り次ぐことができるものとして推薦を受けていること。
二 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者のみを適切に選定し、本邦への送出を行うこととしていること。
三 団体監理型技能実習生等から徴収する手数料その他の費用について算出基準を明確に定めて公表するとともに、当該費用について団体監理型技能実習生等に対して明示し、十分に理解させることとしていること。
四 団体監理型技能実習を修了して帰国した者が修得等をした技能等を適切に活用できるよう、就職先のあっせんその他の必要な支援を行うこととしていること。
五 団体監理型技能実習を修了して帰国した者による技能等の移転の状況等について法務大臣及び厚生労働大臣又は機構が行う調査に協力することとしていることその他法務大臣及び厚生労働大臣又は機構からの技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する要請に応じることとしていること。
六 当該機関又はその役員が禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者でないこと。
七 第一号に規定する国又は地域の法令に従って事業を行うこととしていること。
八 当該機関又はその役員が、過去五年以内に、次に掲げる行為をしていないこと。
イ 技能実習に関連して、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず、技能実習生等又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他技能実習生等と社会生活において密接な関係を有する者の金銭その他の財産を管理する行為
ロ 技能実習に係る契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約をする行為
ハ 技能実習生等に対する暴行、脅迫、自由の制限その他人権を侵害する行為
ニ 技能実習を行わせようとする者に不正に法第八条第一項若しくは第十一条第一項の認定を受けさせる目的、監理事業を行おうとする者に不正に法第二十三条第一項若しくは第三十二条第一項の許可若しくは法第三十一条第二項の更新を受けさせる目的、出入国若しくは労働に関する法令の規定に違反する事実を隠蔽する目的又はその事業活動に関し外国人に不正に入管法第三章第一節若しくは第二節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印若しくは許可、同章第四節の規定による上陸の許可若しくは入管法第四章第一節若しくは第二節若しくは第五章第三節の規定による許可を受けさせる目的で、偽造若しくは変造された文書若しくは図画又は虚偽の文書若しくは図画を行使し、又は提供する行為
九 団体監理型技能実習の申込みの取次ぎを行うに当たり、団体監理型技能実習生等又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他団体監理型技能実習生等と社会生活において密接な関係を有する者が、団体監理型技能実習に関連して、保証金の徴収その他名目のいかんを問わず金銭その他の財産を管理されていないこと及び団体監理型技能実習に係る契約の不履行について違約金を定める契約その他の不当に金銭その他の財産の移転を予定する契約をしていないことについて、団体監理型技能実習生になろうとする者から確認することとしていること。
十 前各号に掲げるもののほか、団体監理型技能実習の申込みを適切に本邦の監理団体に取り次ぐために必要な能力を有するものであること
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上記の要件の判断について、令和元年6月出入国在留管理庁・厚生労働省編「技能実習制度運用要領」194頁では、「送出国政府との間に二国間取決めがされている場合には、送出国政府が外国の送出機関の適格性を個別に審査することとなりますので、送出国政府から認定を受けている外国の送出機関(外国政府認定送出機関)であれば、規則第25条において定められている要件に適合しているものとみなします。」とされています。これは、送出機関がそれぞれの送出国側の法律により認定がなされていることから、かかる判断を尊重するものであるといえます
そして、技能実習法は、監理団体の許可申請及び技能実習計画の認定の各段階において、送出機関に対し、技能実習法施行規則25条のうち、技能実習生が負担する費用や、違約金の設定がないことについての誓約書を外国人技能実習機構に提出するよう求めています。
(1) 監理団体の許可申請時
- 外国の送出機関の概要書(参考様式第2-9号(規則第27条第1項第11号イ関係))
- 外国の送出機関が徴収する費用明細書(参考様式第2-10号(規則第27条第1項第11号ニ関係))
- 監理団体の許可に関する外国の送出機関の誓約書(参考様式第2-11号(規則第27条第1項第11号ホ関係))
(2) 技能実習計画の認定申請時
- 技能実習計画の認定に関する取次送出機関の誓約書(参考様式第1-10 号(規則第8条第8号関係))
しかしながら、「技能実習では保証金や違約金などの徴収を禁止している。2国間覚書を結び、送り出し機関は認定制となっているが、実態は来日時に保証金を徴収されているケースが横行している。」(2018/12/13 6:00西日本新聞)、などとする報道は皆様もよく見にするところかと思います。当事務所がベトナムに日本語学校を設立したことは以前週刊新潮でも取り上げていただきましたが、その理由の一つには、現地の本当に信頼できる送出機関を選別するために現地の事情に精通することが必要だったからです。
技能実習も特定技能も、本当に信頼できる企業に依頼しなければ、せっかく受け入れた外国人労働者の受入れもうまくいかないことになりかねません。当事務所では人材の供給から書類作成、支援の一切をワンストップでお請けできる体制を整えておりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
2. あとがき
このたびは第26回メールマガジンをお読みいただき、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください (ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、もし万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
今後ともよろしくお願い致します。