vol.52 2021/12/01
経済成長と人権
今号の目次
- 日本経済の技能実習生への依存
- 技能実習生の出身国
- 本邦の外国人労働者政策
- まとめ
1. 日本経済の技能実習生への依存
建物に使う鋼材を切断、溶接する加工現場や介護現場など、様々な業種において慢性的な人手不足に陥っていることはご承知のことと存じます。
新型コロナウイルスの水際対策でそれらの外国人技能実習生の受け入れが滞り、上記のような業界における人手不足はさらにその深刻さを増しています。
2020年の国勢調査により、中部3県(愛知・岐阜・三重)では2015年の前回調査と比べ、外国人の人口が40%増え、全人口のうち35人に1人は外国人という状況であるとの報道がなされました。
これらの地域では、とりわけ製造業を中心に労働力不足の解決が技能実習生頼みとなっている現状が明らかになったと言えます。
2. 技能実習生の出身国
2020年末時点でおよそ37万8000人いるとされる技能実習生ですが、そのうちの約55%をベトナム出身者が占めます。
かつて技能実習生の主要な送り込み先であった中国は、今後、外国人人材の流入先となると予想されています。
遠くない将来、本邦が中国と外国人労働者を奪い合うという自体も想定されています。
3. 本邦の外国人労働者政策
「鎖国政策」との揶揄に代表されるように、本邦では限定した外国人労働者の受け入れ政策を採って参りましたが、それでも既に特定の産業や地域においては、労働力不足の解消を外国人労働者に依存する現状となっています。
技能実習制度については「廃止論」や「特定技能との一本化論」なども根強く主張されるところではありますが、現状で技能実習制度が果たす役割の大きさは否定出来ません。
4. まとめ
近年では米国国務省「人身売買報告書」の影響もあり、技能実習制度自体が「悪」との誤ったイメージもございます。
しかしながら、現状の技能実習制度が本邦において果たす役割の大きさに鑑みれば、技能実習制度を適法に運用される皆様こそ「人身売買と闘うヒーロー」です。
今後も技能実習制度に携わる皆様方をサポート出来るよう努めて参りますので、何卒よろしくお願い致します。