vol.20 2019/03/20
住宅の確保は誰がするのか
2019年7月1日、法務省は、日本とベトナムの間において、悪質な仲介事業者の排除等を目的とする協力覚書(以下「覚書」といいます)を締結したことを公表しました。
覚書は、
- 仲介事業者等による保証金の徴収、違約金の定め及び人権侵害行為等の情報を含む、円滑かつ適正な送出し・受入れに資する情報の共有
- 本制度の適正な運用に向けて改善が必要となる問題の是正のための協議の実施
等を通じ、日本国法務省、外務省、厚生労働省及び警察庁が、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省と協力し、以下の事項等を通じて、特定技能における悪質な仲介事業者の排除に努め、ベトナムからの有為な人材の円滑かつ適正な送出し・受入れを促進していくとしています。
ベトナムとの覚書の締結によって、今後ベトナムからの特定技能がようやく始まることになりました。
当事務所は出入国在留管理庁に登録支援機関としての申請を行っており、間もなく登録支援機関としての登録が完了する見込みです。当事務所のサービスにご興味のある方はお気軽にお問合せ下さい。
それでは、第24回メ-ルマガジンの配信です。
今号の目次
- 住宅の確保は誰がするのか
- あとがき
住宅の確保は誰がするのか
この点、技能実習制度においては、技能実習計画の認定を受けるための要件の一つとして、「技能実習生に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることその他技能実習生の待遇が主務省令で定める基準に適合していること」(技能実習法第9条第9号)があり、
「申請者(注:実習実施者)又は監理団体が、技能実習生のための適切な宿泊施設を確保していること」(技能実習法施行規則第14条第1号)
が求められていました。実務的には、実習実施者が技能実習生のための宿泊施設を確保していると思います。
他方、1号特定技能外国人計画の記載事項として、
「当該外国人が締結する賃貸借契約に基づく当該外国人の債務についての保証人となることその他の当該外国人のための適切な住居の確保に係る支援をすることのほか、銀行その他の金融機関における預金口座又は貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をすること」(特定技能基準省令第3条第1号ハ)が求められています。
この点、多くの場合は、特定技能所属機関は契約で登録支援機関に支援の実施の全部を委託すると思われますので、適切な住居の確保にかかる支援は登録支援機関が実施しなければなりません。
具体的には、登録支援機関は、住居の確保に係る支援として、次のいずれかを行うことが求められます(「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」10頁)。
(1) 1号特定技能外国人が賃借人として賃貸借契約を締結するに当たり、不動産仲介事業者や賃貸物件に係る情報を提供し、必要に応じて当該外国人に同行し、住居探しの補助を行う。賃貸借契約に際し連帯保証人が必要な場合であって、連帯保証人として適当な者がいないときは、少なくとも
- 特定技能所属機関等(注:特定技能所属機関又は当該機関との契約により1号特定技能外国人支援計画の全部の委託を受けた登録支援機関のことをいう。以下同じ)が連帯保証人となる
- 利用可能な家賃債務保証業者を確保するとともに、特定技能所属機関等が緊急連絡先となる
のいずれかの支援を行う。
(2) 特定技能所属機関等が自ら賃借人となって賃貸借契約を締結した上で、1号特定技能外国人の合意の下、当該外国人に対して住居として提供する。
おそらく、多くの登録支援機関は、自らが連帯保証人・賃借人となる形での契約を望まないでしょうから、多くの場合は(1)のうち「利用可能な家賃債務保証業者を確保するとともに、特定技能所属機関等が緊急連絡先となる」又は、(3)特定技能所属機関が所有している寮があるような場合は、1号特定技能外国人の合意の下、当該外国人に対して住居として提供する、という対応をするのではないかと思います。
このように、住宅の確保一つをとっても技能実習制度と特定技能は異なっています。登録支援機関となる監理団体様は、どこが異なっているのかをしっかりと確認していただいた上で業務を実施していただくことが必要です。
2. あとがき
このたびは第24回メールマガジンをお読みいただき、ありがとうございました。
できる限り皆様の御要望にお応えしていきますので、「このテーマについて解説が欲しい」等の御要望がございましたら、弊所までご連絡ください (ただし、顧問契約をいただいている方からの御要望を優先させていただきますので、悪しからずご了承ください)。
また、私見も交えてメールマガジンを発行しておりますが、もし万が一「これは誤りではないか」という御指摘がございましたら、合わせてご連絡頂ければ幸いです。
今後ともよろしくお願い致します。