vol.57 2022/05/01
入国・出国の際のPCR費用の取り扱い
今号の目次
- 入国前のPCR費用
- 出国時のPCR費用
- 当事務所の紹介
1. 入国前のPCR費用
本邦に技能実習生が入国するにあたり必要なPCR検査に要する費用は、監理費の実習生負担禁止原則(技能実習法第28条1項)に基づき、実習実施者又は監理団体が負担することとなります。
監理団体が立て替えて、PCR検査費用を支出した場合、「その他諸経費」として実習実施者から徴収することができます。
2. 出国時のPCR費用
技能実習を終了し、当該実習生が帰国する際、PCR検査が必要となる場合があります。
この場合のPCR検査費用の取り扱いは、帰国旅費負担及び帰国円滑措置の範囲として議論されます。
すなわち、監理団体は、技能実習が終了した後、帰国旅費を負担し、技能実習生の帰国が円滑になされるために必要な措置を講じる義務があります(技能実習法39条3項、同法施行規則52条9号)。
この点、出国前に実施するPCR検査費用は原則として帰国旅費には含まれません。
そのため、監理団体において、出国前に実施するPCR検査費用を負担する法的義務は原則として生じないこととなります。
他方、技能実習生の国籍によっては、帰国のためにPCR検査が必須化されている場合などもあり、その場合には、技能実習終了後の帰国が円滑になされるために必要な措置の一環として、監理団体等がPCR検査費用を負担しなければならないことがあり得ます。
3. 当事務所の紹介
以上のように、特に出国時のPCR検査費用の取り扱いについては、一義的に回答が出るものではなく、当該実習生の国籍、出国当時のPCR検査の義務化等、諸般の事情に照らし、慎重な判断が求められます。
このような判断を疎かにすると、監理団体として技能実習法違反を理由に行政処分を科されるリスクがあり、特に監理費を実習生に負担させることに対しては、重大な行政処分が予想されるところです。
弊所では、実務的な運用が確立していない技能実習法の分野においても、「chatwork」でお気軽にご相談いただき、事実関係を精査しながら依頼者の皆さまとより良い技能実習を実現できるよう努めております。
今後も皆様のお役に立てるよう努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。