vol.61 2022/09/01
「特定技能制度(建設分野)の業務区分の統合」について
今号の目次
- 現行制度における建設分野の特定技能の業務区分について
- 統合後における建設分野の特定技能の業務区分について
- まとめ
1. 現行制度における建設分野の特定技能の業務区分について
建設分野における特定技能制度においては、従来、19業務区分に分けて運用されてきました。しかし、ある区分で特定技能の資格を取得しても、当該区分以外の業務に従事することはできず、中小企業・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するという特定技能制度の趣旨に応えるものとしては不十分であるとの声が上がっていました。加えて、技能実習対象の職種で、特定技能にはない職種があるなどの不整合もありました。
2. 統合後における建設分野の特定技能の業務区分について
令和4年8月30日、閣議決定により、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(分野別運用方針)」の変更が行われました(出入国在留管理庁HP)。これにより、従来、19に細分化されていた建設分野の業務区分について、大きく3つの特定技能区分(①土木、②建築、③ライフライン・設備)に統合されることになりました。また、区分の統合に加えて、これまで特定技能に含まれていなかった作業についても、全て整理後の業務区分に取り込み、建設関係の技能実習職種(25職種38作業)を含む建設業に係る全ての作業が特定技能に対象になります。
なお、建設業分野において、統合前の業務区分のいずれかに従事する特定技能外国人として在留している方については、統合後の業務区分に従事するものとみなされるため、業務区分の統合に伴う在留資格変更等の手続は不要となっています(特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針の改正に係るQ&A:出入国在留管理庁)。
3. まとめ
今月号では、特定技能制度(建設分野)における業務区分の統合の報道をご紹介しました。
今回の建設分野における業務区分の統合によって、1つの業務区分で特定技能の資格を取得すれば、その業務が分類されている他の業務も行うことができるため、特定技能外国人ができる業務範囲が拡大し、多能工のような働き方が可能になり、柔軟に仕事ができるようになることが一番のポイントだと思います。
今後とも有益な情報発信を心掛けたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。